研究課題/領域番号 |
16K11711
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
風岡 宜暁 愛知医科大学, 医学部, 教授 (30233696)
|
研究分担者 |
山田 陽一 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (20345903) [辞退]
太田 明伸 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30438048)
大野 隆之 愛知医科大学, 医学部, 講師 (20434623)
シバスンダラン カルナン 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30557096)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 実験腫瘍学 |
研究実績の概要 |
エナメル上皮腫は歯原性腫瘍の中で最も発生頻度の高い上皮性腫瘍である。治療には広範囲の 外科切除が必要であり、外科切除後の 再発を来す症例も少なくない。これまでに本疾患に染色体 異常が存在することは報告されているものの腫瘍の増殖・進展など病態に 関与するゲノム異常は 特定できていないのが現状である。本研究では、最新のオリゴアレイCGH(comparative genomic hybridizatio n)による高解像度ゲノム解析技術を用いて、エナメル上皮腫の新たな微細なゲノム異常領域(増幅と欠損)を体系的に探索し、腫瘍関連 遺伝子を同定することを目的とする。 平成29年度は、昨年度に引き続き、エナメル上皮腫3検体(合計9検体)を収集し、ゲノム DNA および RNA を抽出・解析をおこなった。解析は Agilent 社の高密度オリ ゴアレイ CGH を用いて、微小なゲノム異常(増幅や欠損)の体系的な検出に取り組んだ。抽出した患者由来ゲノム DNA と正常コントロ ール DNA2μg を用いてオリゴアレイ CGH解析を行った。得られた蛍光強度のデータを DNA Analytics software (Ver4.0.81, Agilent社)を利用して解析し、ゲノム異常領域を抽出した。これまでにゲノム欠損領域として、Chr3p12.3 (候補遺伝 子: ZNF717, MicroRNA 4273, 頻度 50%)、Chr7q22.1 (候補遺伝子: ZAN, 頻度 75%)などを見出した。さらに、本年度はエナメル上皮腫切除組織よりエ ナメル上皮腫不死化細胞株の樹立に成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、エナメル上皮腫3検体のオリゴアレイCGH解析をおこなった。本研究は平成30年度までに10検体の解析を予定しており、現在までに9検体の解析を終了している 。さらにオリゴアレイCGH解析後、ゲノム異常の頻度が高い領域を優先的に選抜し、リアルタ イム PCR 法を用いた遺伝子発現量の測定や、ホルマリン・パラフィンサンプルを用いた候補遺伝子由来のタンパク質の存在を検討中である。今後、同定された遺伝子のノックダウンによる機能解析 エナメル上皮腫不死化 細胞株に候補遺伝子の SiRNA 、ShRNA を導入して、ノックダウンを行い、候補遺伝子ノックダウン細胞の増殖能などの表現型を検討し、候補遺伝子の機能解析を行う期間を考慮しても、本研究は、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は同定された遺伝子のノックダウンによる機能解析 エナメル上皮腫不死化 細胞株に候補遺伝子の SiRNA 、ShRNA を導入して、ノックダウンを行う。候補遺伝子ノックダウン細胞の増殖能などの表現型、in vivo 腫 瘍形成能を検討し、候補遺伝子の機能解析を行う。同定された遺伝子発現とエナメル上皮腫患者の予後の関連の検討 同定された遺伝子の発現とエナメル上皮腫患者の予後、術後再発や悪性転化等との関連について検討を加え、予後マーカーとしての可能性についても検討を進める。 現在までにエナメル上皮腫切除組織よりエナメル上皮腫不死化細胞株の樹立に成功しており、今後、表現型について評価を行う。また、SCID マウスへの移植を行い、エナメル上皮腫としての病理組織学的形質を示すことを確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
試薬の見積もり金額が小数点以下が四捨五入されていたが、購入の際には1円未満は切り捨てで価格設定されていたために、1円の差額が生じた。差額分は、次年度の予算と合算して効率的に執行予定。
|