研究実績の概要 |
2018年度は研究機関の最終年度として以下の研究成果を得た。 昨年度までの研究で、積層造形チタン人工骨の表面処理として混酸・加熱処理がもっとも高い骨形成能をもつことを、メッシュ状にした積層造形チタン人工骨設置ラット頭蓋骨骨欠損モデルで証明した。擬似体液を用いた非生体において、混酸・加熱処理の高い骨形成能は報告されているが、生体内での他処理法と比較・検証した報告は世界で初めてである(Yamamoto K, Ueno T, et. al. RSC Advanced 2018)。 この研究をさらに発展させ、骨欠損部に形体を一致させた埋め込み型積層造形チタン人工骨を用いて欠損部における積層造形チタン人工骨の骨形成能評価を行なった。非脱灰研磨標本とマイクロCT観察において積層造形チタン人工骨には周囲から活発な骨形成がなされ骨と一体化する様子が観察された。この結果は、積層造形チタン人工骨が生体内においてカスタムメイド人工骨として使用される可能性を強く示唆している。 またヒトの顎骨欠損症例においても患者CTデータをもとにカスタムメイドで積層造形チタンメッシュを作製・使用(大阪医科大学:特定臨床研究審査委員会にて特定臨床研究として承認)し、欠損部への適合性、安全性、骨形成有効性の評価を行い期間内に7名の患者で、良好な結果を得ることができた(Ochi A, Ueno T, et .al. The 26th EACMFS, Munich, 2019. Inoue K, Ueno T, et. al. Implant Dentistry 2019)。 今後は、引き続き積層造形チタン人工骨の有効性と安全性を検証して実用化を目指す。
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