研究課題/領域番号 |
16K11713
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
森田 浩光 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (30380463)
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研究分担者 |
今井 裕子 九州大学, 大学病院, 助教 (30592688)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 細胞増殖 / 容積感受性クロライドチャネル |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究計画としては、in vitro実験における浸透圧受容による細胞増殖機構の解明として、1)BEST1の役割の検討、2)TMEM16Aと相互作関係の解明、3)非浸潤・非転移性口腔癌細胞や正常角化細胞へのTMEM16A挑んし導入による効果の検討であった。結果として、パッチクランプ法、RNAi、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、セルカウント、In situ Proximity Ligation Assay(PLA)システム等を用いて、口腔癌細胞(HST-1及びHSC-3)と対照として非浸潤・非転移性口腔癌細胞(HSC-2)および正常角化細胞(HST-1)を用いて浸透圧変化によるTMEM16A、LRRC8AおよびBEST1の電流量や発現の変化、RNAiや阻害薬による影響、細胞増殖への関与、さらには各種遺伝子の浸透圧刺激による相互作用についての実験・検討を行った。結果として、口腔癌細胞では浸透圧変化(腫瘍周囲の慢性炎症に伴う浸透圧変化)がTMEM16AとLRRC8Aの相互作用によると考えられる容積感受性クロライドチャネルの活性化を介して細胞増殖が制御されていること、またこの容積感受性クロライドチャネルの活性化にはBEST1は関与していないことが強く示唆される結果を得た。遺伝子導入実験に関しては、TMEM16Aの遺伝子クローニングはすでに終えているが、現在、シークエンス依頼をしているところで、それが完了次第、発現ベクターに載せかえ、HSC-2およびHaCaT細胞への遺伝子導入による実験を行う予定である。なお、これまでの実験成果は国際歯科研究学会(2017年3月22-25日、於:米国カリフォルニア州サンフランシスコ)にて成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在まで、予定していた各種実験は概ね順調に進行している。しかし、遺伝子導入実験に関しては、本年度行う予定であるが、遺伝子クローニングまで終了しているので、大幅な遅れにはなっていない。一方で、TRPチャネルの発現状況についての実験も併行して行なっているので、全体的には概ね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、クローニング済みのTMEM16Aの非浸潤・非転移性口腔癌細胞への遺伝子導入実験、一方でLRRC8Aの遺伝子クローニングを行い、福岡大学医学部生理学教室の井上隆司教授のグループと共同研究を行い、HEK293細胞にTMEM16A及びLRRC8Aを発現させ、浸透圧刺激による両者のインタラクションをFRET計測・解析により調査していく予定である。さらに、マイクロアレイを用いた実験に関しても徐々に行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は消耗品のストックがあったため、当初の予定より消耗品費が節約できた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越し分は、次年度以降の消耗品費等に使用する予定である。
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