研究課題
顎下腺器官培養組織の形態学的、機能的変化の解析平成28年度の結果より、放射線照射量は0Gy、1Gy、5Gyの3段階に分けて単照射することを決定した。照射対象である唾液腺器官培養組織は胎齢12.5日のマウス胎子から採取し、外植片①(顎下腺・舌下腺原基が混在したもの)、外植片②(①に舌筋を含んだもの)の2種類とした。腺管構造形成(分枝形成の数、分葉数)は放射線照射後4日後に計測した。外植片①において、1Gyではコントロール(0Gy)と比較して腺管構造形成数の変化はなかったが、5Gyで約40%に減少した。一方、外植片②では1Gyでは変化なく、5Gyで約60%に減少した。腺管構造形成数は外植片①と②を比較すると、コントロール(0Gy)で約4倍、5Gy照射で約6倍であった。機能的な変化は器官培養組織を溶解し、アミラーゼタンパクをマーカとしてウエスタンブロット法にて解析した。外植片①では1Gy照射で変化はなかったが、5Gy照射でアミラーゼタンパクの減少を認めた。外植片②では1Gy、5Gy照射共にコントロールと変化はなかった。放射線照射5Gyで外植片①と②の差異が認められ、唾液腺周囲の筋肉や結合組織が唾液腺の分化・増殖・修復に関与している可能性が示唆された。機能低下に関連するタンパクの同定外植片①と②の組織からタンパクを抽出し、唾液腺組織の増殖・分化に関連すると考えられているEGF、HGF、KGF、FGFに関し、ウエスタンブロットで解析した。4種の成長因子すべてにおいて外植片①より外植片②に多く認められた。唾液腺周囲の筋肉や結合組織から産生される増殖因子によるものと予想された。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度の計画は微修正を行いながら進行中である。計画通りに進まない時には当初の対応策に準じて、行っていく予定である。
機能低下に関連するタンパクの同定の継続放射線照射によって、外植片①と②における4種類の増殖因子発現の変化に関して、ウエスタンブロット法、免疫染色、real time RT-PCRを用いて検索を行う。唾液腺器官培養を用いた放射線障害唾液腺の修復・再生モデルの確立機能低下に関連する増殖因子を障害を受けた唾液腺器官培養組織に作用させ、アミラーゼの発現をマーカーとして評価、判定する予定である。
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Molecular and clinical oncology
巻: 6 ページ: 886-892
10.3892/mco.2017.1226
Molecular and clinical oncology.
巻: 2 ページ: 140-144
10.3892/mco.2017.1276