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2018 年度 実施状況報告書

口腔癌におけるSlit/Roboシグナル作用機構の解析とバイオマーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K11716
研究機関東京大学

研究代表者

安部 貴大  東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20383250)

研究分担者 阿部 雅修  東京大学, 保健・健康推進本部, 講師 (10392333)
森川 鉄平  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (80451772)
浜窪 隆雄  東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90198797) [辞退]
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワードrobo1 / 口腔癌 / 抗体医薬
研究実績の概要

本研究計画では、様々な細胞機能に関与するSlit/Roboシグナルについて、まだ明らかとなっていない口腔扁平上皮癌での発現様式やシグナル伝達機構を明らかにしたいと考えている。口腔粘膜上皮基底細胞層の細胞接着系の破綻によって起こる発癌、進展のメカニズムに、Slit/Roboシグナルが重要な役割を担っていることが予想される。当初の予定として掲げている検討項目、1)細胞株を用いたRobo受容体の発現検討、2)Slit誘導による増殖能や遊走能の検証、3)切除時に採取したヒト検体(癌部、非癌部、前癌病変)の組織学的、生化学的発現解析を進めている。ヒト由来口腔扁平上皮癌患者から樹立された細胞株HSQ89, HO-1-u-1, Sa3, SASを用いてROBO1の発現は抗ROBO1抗体は先端科学技術研 究センター計量生物医学研究室所有のモノクローナル抗体を用いて行っている。mRNA発現は各種プライマーを設計のうえでのqRT-PCRやシークエンス解析、タンパク発現はウエスタンブロット、フローサイトメトリー、免疫染色で検討を遂行した。さらにHSQ-89細胞株を用いてSlit誘導による遊走能の検証を行い、mRNAはいずれの細胞株も発現を認めることを確認した。また、HSQ-89細胞株ではシークエンスでROBO1との同配列の確認など終えた。一方、タンパク質レベルで発現するHSQ-89, HO-1u-1、Sa3細胞株のうち、HSQ-89細胞株について、Slit誘導による遊走能を確認するなどを行い、これらの検討より、口腔癌の代表的な細胞株において、ROBO1の発現を認めた(mRNA; 4/4,現在ヒト検体についても検討を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで、細胞株には、種類によってROBO1の発現量に差があることが示され、またがん種によっても異なることは文献的にも示されているため、コントロールとなる高発現する細胞株の構築には時間を要した。これはヒト検体においても同様の傾向が示唆され、さらに抗体の特異性を担保する染色が得られにくいことも計画を阻む要因となっている。また、当教室主宰者である教授の交代があり、環境要因も研究遂行に影響している。

今後の研究の推進方策

これまでも述べてきたようにSLIT2/Robo1シグナルが、癌細胞の浸潤、転移、上皮間葉移行 (EMT)、腫瘍血管新生における重要な役割を果たすことが示されてきており、浜窪らの研究により、肝細胞癌、小細胞肺癌において、A 90Y によりラベルした抗Robo1抗体による放射免疫療法 (Radioimmunotherapy, RIT) の有効性が示されたこともあり、Robo1は抗体による癌治療法の標的因子として の可能性の高いものであると考えられる。そのため、本研究では、複数のHNSCC細胞株におけるRobo1の発現量を明らかにすることで標的因子としての可能性を模索し、抗Robo1抗体を用いた細胞障害活性の検討についても模索し、HNSCCに対するその有効性についても検討中である。抗Robo1抗体にサポリンを付加したイムノトキシンを用いて、Robo1を発現する頭頸部扁平上皮癌細胞株および血管内皮細胞(HUVEC)に対する効果を調べた。培養した細胞に光増感剤AlPcS2aを前投与し、650nmのLED光を照射する光化学的内在化法により、強い腫瘍細胞および血管内皮細胞殺傷効果を認めた。さらに、がん細胞株HSQ-89を移植したマウスゼノグラフトを用いた光化学的治療においても腫瘍縮小効果を認め、本手法が臨床応用可能である結果を得た。引き続きRobo1の作用を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者の人事異動等により遂行が遅延したため。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] A rare case of myoepithelial carcinoma gradually changed of malignancy: a report and literature review2019

    • 著者名/発表者名
      Kurabayashi K, Abe T, Abe M, Ikemura M, Takato T, Hoshi K
    • 雑誌名

      Oral Science International

      巻: 16 ページ: 100-105

  • [雑誌論文] Identification of a metastatic lung adenocarcinoma of the palate mucosa through genetic and histopathological analysis: A rare case report and literature review2019

    • 著者名/発表者名
      Abe M, Watanabe K, Shinozaki-Ushiku A, Ushiku T, Abe T, Fujihara Y, Amano Y, Zong L, Wang CP, Kubo E, Inaki R, Kinoshita N, Yamashi S, Takai D, Ushijima T, Nagase T, Hoshi K
    • 雑誌名

      BMC Cancer

      巻: 19(1) ページ: 52

    • DOI

      doi: 10.1186/s12885-019-5277-1.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Factors impairing cell proliferation in the granulation tissue of pressure ulcers: Impact of bacterial burden2018

    • 著者名/発表者名
      Sato T, Abe T, Ichioka S
    • 雑誌名

      Wound Repair and Regeneration

      巻: 26(3) ページ: 284-292

    • DOI

      doi: 10.1111/wrr.12675.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] BRAF inhibitor: a novel therapy for ameloblastomas in the mandible2018

    • 著者名/発表者名
      Abe M, Zong L, Abe T, Takeshima H, Ji J, Ushijima K, Hoshi K
    • 雑誌名

      Chinese Journal of Cancer Research

      巻: 30(6) ページ: 677-678

    • DOI

      doi: 10.21147/j.issn.1000-9604.2018.06.12.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] トキシン結合型抗Robo1抗体とPCIの併用は頭頸部扁平上皮癌細胞に対して抗腫瘍効果を高める2019

    • 著者名/発表者名
      小松紀子,安部貴大,阿部雅修,浜窪隆雄,星和人
    • 学会等名
      第37回日本口腔腫瘍学会総会
  • [学会発表] 顎骨に発生した極めて稀なエルドハイム・チェスター病関連腫瘍の1例2019

    • 著者名/発表者名
      中村和貴,小松紀子,久保田恵吾,阿部雅修,米永一理,宮本祥行,小倉瑞生,安部貴大,星和人
    • 学会等名
      第37回日本口腔腫瘍学会総会
  • [学会発表] The association between genetic and epigenetic abnormalities in oral squamous cell carcinomas2018

    • 著者名/発表者名
      阿部雅修,安部貴大,西條英人,星和人
    • 学会等名
      第61回日本口腔外科学会総会・学術大会
  • [学会発表] 口蓋粘膜に発生した血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)の1例2018

    • 著者名/発表者名
      白井伶奈,安部貴大,阿部雅修,藤原夕子,谷口明紗子,成田理香, 小野紗也加,星和人
    • 学会等名
      第52回 日本口腔科学会関東地方部会
  • [学会発表] 手術用ナビゲーションシステムを用いた上顎良性腫瘍の治療経験2018

    • 著者名/発表者名
      小関珠理亜,安部貴大,阿部雅修,谷口明紗子,菅家康介,五十嵐正樹,柏木美樹,宮本祥行,西條英人,星和人
    • 学会等名
      第72回日本口腔科学会総会
  • [学会発表] 安全な骨吸収抑制薬投与患者への歯科対応とMRONJの新展開2018

    • 著者名/発表者名
      安部貴大
    • 学会等名
      第2回国際歯科医療安全機構研修会

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公開日: 2019-12-27  

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