研究課題/領域番号 |
16K11717
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
園田 格 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, その他 (20451974)
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研究分担者 |
川田 研郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (20311219)
鵜澤 成一 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30345285)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 食道癌 / 重複癌 |
研究実績の概要 |
日本における口腔癌の罹患者は1975年には2,100人,2005年には6,900人であったが、全癌の約1%を占めると推定されている。高齢化社会の到来とともに癌罹患数は増加している。口腔癌においても同様であり、2015年には7,800人になると予測されている。口腔癌の9割の組織系は扁平上皮癌(Oral Sqamous Cell Carinoma:OSCC)であり、口腔癌の中では舌癌が最も多い。口腔は消化器系の入り口として,喫煙や飲酒、食物などによる化学的刺激に曝露され、また齲歯や不良な歯科補綴物による機械的刺激があり、発癌にかかわる特殊な環境と危険因子が複数存在することが特徴である。口腔癌患者には同時性あるいは異時性に重複癌が発生することがある。口腔癌を含む頭頸部癌患者における重複癌の60~70%は上部消化管または肺に認められる。口腔癌を含め、頭頸部癌患者における重複癌の特徴として、最近20年間に発生頻度が急激に増加しており、近隣領域に第2癌が発生することが多くまた頭頸部癌の治療後に第2癌が発生することが多い。上部消化管癌と重複することが多いことの説明として、1953年にSlaughteらが口腔癌の研究から提唱した概念で,咽頭、食道、胃は、同一の発癌環境にあるとされ、共通の癌誘発因子の長期的な暴露によって複数の領域にまたがって広く発癌する現象をさす、field cancerization の概念が挙げられる。また、口腔癌の重複癌の背景因子には、性、生活習慣、過度の喫煙と飲酒が挙げられる。食道癌も口腔癌同様に9割の組織系は扁平上皮癌(Esophugus Sqamous Cell Carinoma:ESCC)とされていて双方ともに扁平上皮由来の悪性腫瘍であり、同一個体から検出された重複癌同志の遺伝子レベルでの変化など興味深い。 口腔・頭頸部領域の癌研究の一貫として [馬蹄形骨切り併用LeFortⅠ骨切り術のための上顎骨の解剖学的検討] として論文発表を行った。(日本顎変形症学会雑誌 27巻 4号 2017年)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究における対象患者の抽出・選択行っている段階であり、予定より進捗状況は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当科において口腔扁平上皮癌(OSCC)と診断された症例で上部消化管の内視鏡スクリーニング検査(GIF)を行い、重複した食道扁平上皮癌(ESCC)を対象とする(または順番が逆のケースや双方の領域での単独症例も含む)。双方で得られた生検・手術検体を次世代シークエンサーなどの手法を用いて遺伝子レベルの異常や発現状態を同一個体から検出された重複癌同志または単独発症のケースと比較する事によって網羅的に評価し異常の関連性や独立性について検討する。それらのデータをもとに解析結果との関連性を評価し、field cancerizationの発生機序の解明や新規治療法の開発にむけた基礎的知見を得ることで新しい診断基準や治療法についての応用を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験機器の購入や学会参加費・研究報告などに適宜使用した。H29年度はパラフィン切片より原発巣からのDNA等の抽出を行う予定であったが、古い症例ではサンプルの発見自体が困難であり、抽出したDNAが研究・解析に使用出来る品質を保っていないなどの問題が生じており次年度への繰り越し助成金が発生した。
(使用計画) 抗体や培養等の各種試薬の消耗品および実験機器や学会参加旅費・研究報告に使用予定である。
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