研究課題
第2相臨床試験(RTOG 0234)の検体を使用し、登録患者において、EAp53が予後因子、ないし、治療後の経過予測因子になりうるか検討したプロジェクトの解析を終了させた。結果は、The American Society of Clinical Oncology (ASCO) 2019 Annual Meeting、および、NRG Oncology 2019 Semiannual Meetingにて発表した。RTOG 0234は、進行頭頚部癌術後における補助療法の改善を目的とした試験であり、登録患者は、ステージ3もしくは4、かつ、病理組織学的なリスク因子を少なくとも1つ呈しており、そのリスク因子の1つが頸部リンパ節転移巣における被膜外浸潤の存在である。臨床試験の中で検討された補助療法は、ドセタキセル+セツキシマブ+放射線とシスプラチン+セツキシマブ+放射線の2種類であった。EAp53とは、近年我々が開発したコンピューターによる新規スコアリングシステムの名称であり、頭頚部扁平上皮癌患者の臨床予後の観点から、TP53ミスセンス変異を高リスクと低リスクグループとに分類している。癌切除検体からゲノムDNAを抽出、TP53遺伝子変異の同定、および、EAp53スコアリングを行い、HPV陰性の患者群81 症例に対して解析したところ、ドセタキセル使用群において、EAp53 高リスクグループおよびミスセンス以外のTP53遺伝子変異をもつグループは、TP53 野生型および EAp53 低リスクグループと比べ、不良な経過を示した。また、TP53野生型およびEAp53低リスクグループは、シスプラチン使用群に比べ、ドセタキセル使用群の方が、良好な経過を示したが、EAp53 高リスクグループおよびミスセンス以外のTP53遺伝子変異をもつグループ間には、治療内容の違いによる有意な差は見られなかった。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)