口腔癌の最も重要な予後因子は転移の有無である。しかしながら、未だに転移を克服するのに有効な治療法の開発には結びついていない。これは、従来の着目点が転移巣形成の律速段階をターゲットにできていないためだと考えられる。 本研究では、転移細胞が獲得した細胞死シグナルへの抵抗性を解除し、元来生体が有している癌細胞に細胞死を誘導する能力を賦活化させる方法を検討した。その結果、脈管内で生存し、移動する癌細胞の Src 活性を抑制し、TRAIL(細胞死シグナル)を有効に作用させることで転移巣の形成を阻止できる可能性が示唆された。
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