研究課題
本年度の実績としましては、治療効果を的確に予測できる可能性のあるバイオマーカーの探索・同定と、それらの簡易的な検出方法の開発を試みるという一つの目的に関しまして、学術論文としてInternational Journal of Oncology(IF:3.0)に発表することができたことが、一番に挙げられます。さらに、すでに同定したTh1細胞が認識するHLAクラスII (HLA-II)拘束性抗原ペプチドとこれまでのCTLエピトープペプチドとの併用による進行がん患者における抗腫瘍効果の増強を検討しより効果のある口腔癌ペプチドワクチン療法を確立するという目的に関しましても、学術論文としてOncoimmunology(IF:7.6)に発表することができたことを御報告致します。本科研費により研究することができましたことを、深く感謝しております。本研究は私どもだけではなく、東京大学医科学研究所および熊本大学大学院生命科学研究部免疫識別学講座との緊密な共同研究の成果であります。この業績に引き続き、さらに数本の学術論文がでること期待できる考えております。その概要としましては、Cell division cycle associated 1(CDCA1)は口腔癌の予測マーカーと治療のための標的分子になり得ることが判明しました。さらにIMP-3という癌胎児性抗原由来の約40merのアミノ酸配列が腫瘍拒絶の免疫反応の立役者であるkiller T細胞を活性化することが出来、さらにはhelper T細胞も活性化することができことが、口腔癌拒絶の免疫状態を体内に構築することができる可能性が示唆されました。本研究の結果、治療法がないと言われ、だた死を迎えるだけであった頭頸部癌扁平上皮癌患者に対して癌を克服できる光明を見いだすことができた可能性が示唆されました。
2: おおむね順調に進展している
今回の研究において、これまでの臨床研究結果を科学雑誌に発表する、というところが目的の一つでありました。われわれの基礎研究および臨床研究はまだまだこれから継続していくのですが、その中間点として論文発表が重要なpointになっていることは言うまでもありません。今回研究成果を学術論文として科学雑誌に掲載することができたことにより、われわれの研究の方向性は妥当であるということを確認することが出来たと考えます。今回の論文掲載とういう結果を糧に、チーム一丸となって今後も臨床研究を推進していく所存です。われわれの研究は個人ではなくチームプレイですので、今後の臨床研究のモチベーションを皆が得ることができた、という点において研究目的はおおむね順調に進展している、今後も進展していくことであろう、と考えます。
われわれは治療法がないと宣告され、何の治療も受けることが出来ない頭頸部癌患者、すなわち癌難民にならずに治療を受けることが出来るよう、治療法あるいは治療薬を開発することが、われわれの最大の目的です。今後の研究推進方策としましては、①これまでと同様に、治療法がない、と宣告された頭頸部扁平上皮癌患者に対してペプチドワクチン療法を施行していく、②そもそもペプチドワクチン療法は副作用がほとんどありません。それゆえ他療法との併用も可能である、と言われております。したがって、分子標的薬や化学療法薬との併用療法を検討していく。③扁平上皮癌だけでなく、唾液腺癌や肉腫などに対しても本療法の有効性を研究していく、などを推進していく計画です。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
日本口腔外科学会雑誌
巻: 63 ページ: 21-24
International Journal of Oncology.
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Oncoimmunology
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