研究課題/領域番号 |
16K11727
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (70305150)
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研究分担者 |
石田 喬之 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (20404501)
久米 健一 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60650067)
濱田 大治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30771480)
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔癌 / がん幹細胞 / 低酸素 / EMT |
研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌の治療において頸部リンパ節転移は最大の予後因子であり、治療成績向上にはその制御が不可欠である。そのためには転移のメカニズムを解明する必要があるが、その詳細は未だ不明な点が多い。近年、がんの浸潤・転移とがん幹細胞の関係が注目され、がん細胞が上皮間葉移行(EMT)の過程でがん幹細胞様性質を獲得する可能性が示唆されている。われわれはこれまでに低酸素環境において口腔扁平上皮癌細胞がNotchシグナルを介してEMTを誘導することを見出しているが、本研究では低酸素環境におけるがん幹細胞マーカー(Bmi-1)の発現を解析することによって、浸潤・転移のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 われわれはまず患者サンプルを用いた臨床病理学的検討において次のことを確認した。①病理学的頸部リンパ節転移を認めた(pN+)群はpN-群と比べ有意に予後不良であった。②浸潤様式YK-3群と比較してYK-4c、4d群が有意に予後不良であった。③化学放射線療法の組織学的治療効果が低い群は効果が高い群に比べ有意に予後不良であった。 臨床検体においてBmi-1が周囲組織に比べ癌組織で高発現することや癌組織に隣接する異形成上皮では基底層細胞に多く発現することを確認した。 さらに口腔癌細胞4株(HSC2、HSC4、OSC-19、KON)において低酸素下で Bmi-1が一過性に発現が増強することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況が遅れている原因として、以下のことが挙げられる。 ①患者サンプルの回収と癌幹細胞マーカーの発現(mRNA、タンパクレベル)の確認の遅滞 ②in vitroの低酸素下培養において予想より細胞株の発育が不良 ③機能解析実験において遺伝子導入率が低い
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今後の研究の推進方策 |
①患者サンプルの回収と癌幹細胞マーカーの発現(mRNA、タンパクレベル)の確認の遅滞→関連部署と連携し患者サンプル数の増加をはかる ②in vitroの低酸素下培養において予想より細胞株の発育が不良→低酸素濃度や培地などの条件を個別または組み合わせで変更し検討 ③機能解析実験において遺伝子導入率が低い→現行のエレクトロポレーションシステム以外の導入法の検討
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた消耗品等が低価が購入できたため
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