研究課題
口腔がん微小環境における免疫担当細胞の局在と臨床病理学的所見ならびに予後との関係を免疫組織化学的に検討した。その結果、invasive front実質のFoxP3陽性T細胞、CD8陽性T細胞の高発現症例は予後良好で、有用なバイオマーカーとなり得る可能性が示唆された。また、進行口腔がんや高悪性度口腔がんでPD-1、PD-L1、PD-L2が多く発現していることが示された。口腔がんに対する新規がん免疫療法の開発には、これらの免疫逃避に関与する分子の制御が重要と考えられた。口腔がんに対するIFAとIFN-αを併用したSVN-2Bペプチドワクチンの臨床試験7例の臨床効果は、SD;3例、PD;4例で、腫瘍マーカーの低下が2例に認められた。テトラマー陽性CTL増加は7例全例、DTH反応は1例に認められ、有害事象は注射部位の発赤と硬結をはじめ掻痒や発熱など軽微であった。SVN-2Bペプチドワクチン単剤と比較して高い治療効果が得られ、安全性にも問題がないことが明らかとなり、残り3例を残し試験終了とした。新規抗原ペプチドの分離同定では有望なペプチドの同定には至らず、次年度の継続課題として進行中である。がん特異的モノクローナル抗体技術を用いて作製され、ヒトがんタイプの podoplaninのみを認識するLpMab-23に着目し、抗体医薬品としての可能性について免疫組織化学的に検討した。その結果、LpMab-23の発現は早期舌扁平上皮癌において、頸部後発リンパ節転移を予測する上で最も強い危険因子であることが示され、バイオマーカーとしての有用性のみならず転移予防の抗体医薬品としての可能性が示唆された。さらに、被膜外浸潤を認めた頸部後発リンパ節転移巣の大多数でLpMab-23の強発現を認め、LpMab-23が腫瘍浸潤能に関与している可能性が考えられた。
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