研究課題/領域番号 |
16K11731
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
栗林 伸行 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80617332)
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研究分担者 |
木内 誠 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00759483)
内田 大亮 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20335798)
川又 均 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70224847)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | mGluR5 / CXCR4 / 口腔癌 |
研究実績の概要 |
われわれは、口腔癌細胞がケモカインレセプターCXCR4 を利用し転移することを明らかにした。一方、CXCR4 阻害剤は造血幹細胞の動員薬として米国で臨床応用されており、長期間投与した場合、血球系細胞への影響が危惧される。われわれは血球系細胞に発現していないCXCR4 の標的分子として、metabotropic glutamate receptor (mGluR) 5 を同定し、mGluR5 特異的阻害剤がCXCR4 システム依存的な口腔癌細胞の転移を抑制することを明らかにした(PLoS One 8:e80773, 2013)。しかしながら、用いたmGluR5 阻害剤は連日の腹腔内あるいは静脈内投与を必要とするため、実用的ではない。最近、新規mGluR5 特異的経口阻害剤であるRG7090が開発され、大鬱病障害や脆弱性X症候群における有用性が報告された。RG7090 は従来のmGluR5 阻害剤に比べ半減期が長く、隔日経口投与が可能であるためmGluR5をより低侵襲かつ持続的に抑制することができる。そこで、本研究では、CXCR4 システムを介した口腔癌の転移に対するmGluR5特異的阻害剤RG7090 の効果を検討することを目的とした。まず、RG7090 がmGluR5 の機能抑制に及ぼす影響をCa flux assayにて検討した。mGluR5 の特異的作動薬であるDHPG((S)-3,5-DHPG) でB88-SDF-1 細胞を刺激すると、早期に細胞内Ca 濃度の上昇を認めた。そこにRG7090 10nMを処理しassayを行い濃度上昇の抑制をやや認めた。現在、再現性を確認するため濃度を振り分けて遂行中である。また、in vivoにおいては動物実験計画書を提出の上、野生型マウス(C3H/HeN)の購入手続きを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RG7090の in vitroでの濃度調整の再検討が必要であるため実験の遂行がやや遅れている。現在、MTTassayにて濃度による細胞毒性の有無を検討しながら適正濃度の決定を行っている。また、同時に同濃度でのCa flux assayを行っている。さらに、有害事象における in vivoの実験ではマウス購入手続き中であり実験が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroではB88-SDF-1細胞におけるRG7090の濃度を再検討し、mGluR5における機能抑制、非足場依存性増殖、細胞遊走、細胞浸潤の役割について検討していく。また、in vivoにおいてもマウスリンパ節転移モデルとして咬筋内同所性移植法、およびマウス肺転移モデルとして静脈内移植法を確立できているのでそれに対するRG7090が転移抑制に及ぼす影響を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroの実験において、足場依存的あるいは非依存的な増殖に及ぼす影響、細胞遊走と細胞浸潤に及ぼす影響を検討する。また、細胞遊走能の評価および細胞浸潤能の評価を行うため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
足場依存性増殖能の評価に使用するMTT 用器材、足場非依存性増殖を評価に使用するsoft agar 用器材、細胞遊走能の評価に使用する migration、wound healing、蛍光抗体用の器材、および細胞浸潤能の評価に使用するinvasion 用器材を購入する。さらに、mGluR5阻害剤、口腔癌細胞を購入する。さらに研究成果は、上述の学会に出席発表し、国際雑誌にも投稿予定である。
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