研究課題/領域番号 |
16K11735
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
片倉 朗 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10233743)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | メタボローム解析 / 唾液 / 口腔癌 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
私達は簡便にかつ非侵襲的に反復して採取できる唾液を検体として口腔粘膜の異形成リスクファクターを判定する検査方法に適応するバイオマーカーをメタボローム解析で同定を行っている。先行研究では全唾液中のタンパクを二次元電気泳動法により網羅的に検索し、口腔がんで特異的に発言するenolase-1を特定している。その後さらに口腔癌の癌化のリスクファクターを判定する方法として口腔癌の代謝物に注目し、メタボロミクス、キャピラリー電気泳動‐質量分析法(CE-MS)により口腔癌患者の唾液中ならびに口腔癌組織中に特徴的に発現するイオン代謝物の検出を行い、口腔癌患者と健常者で有意差のあった物質は33物質まで検出した。これらの先行研究より本研究では口腔患者(舌癌・下顎歯肉癌)の術前の唾液、ならびに健常者の唾液を各々20検体以上収集し、メタボロミクス、CE-MSで特徴的なマーカーとして16種類の代謝物質(3‐(4‐Hydroxyphenyl)propionic acid, Butyric acid, Cholineなど)とその表現型の分布ならびにPathwayを網羅的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度の研究計画として、口腔癌患者由来全唾液(外科的切除前)および健常者全唾液により、イオン性代謝物の網羅的測定に成功し、口腔癌患者に特徴的な16種類の物資を同定することができた。しかし年度内に行う予定であったMALDI-TOF-mass (matrix-assisted laser desorption/ionization time of fly mass spectrometry)による質量分析とPeptide-mass fingerprinting法により再現性を確認までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
特徴的な動向を示した16種類の代謝物質をMALDI-TOF-mass (matrix-assisted laser desorption/ionization time of fly mass spectrometry)による質量分析とPeptide-mass fingerprinting法により再現性を確認する。さらにバイオマーカーとして価値が高いと考えられる代謝物に対し、Real-time PCR法、PCA(Principal Component Analysis)、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)、HCA(Hierarchical Cluster Analysis)解析によりその同定を行う。 上記の物質の抗体作成が可能であれば、免疫組織化学染色により癌組織中でのそれらの発現状況を検索し、口腔癌あるいは上皮異形成のバイオマーカーとして用いることができるならば、流体マイクロデバイス化のためのチップの作成を行う。 得られたバイオマーカーをチップに搭載が実現したならば、マイクロ流体デバイスへの導入を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
先に記載した研究計画の遅れにより、予定していた実験が遅延しそれに伴う消費も遅延したため。
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次年度使用額の使用計画 |
特徴的な動向を示した代謝物質をMALDI-TOF-mass (matrix-assisted laser desorption/ionization time of fly mass spectrometry)による質量分析とPeptide-mass fingerprinting法により再現性を確認する。バイオマーカーとして価値が高いと考えられる代謝物に対し、Real-time PCR法、PCA(Principal Component Analysis)、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)、HCA(Hierarchical Cluster Analysis)解析によりその同定を行う。上記の物質の抗体作成が可能であれば、免疫組織化学染色により癌組織中でのそれらの発現状況を検索する。口腔癌あるいは上皮異形成のバイオマーカーとして用いることができるならば、流体マイクロデバイス化のためのチップの作成を行う。得られたバイオマーカーをチップに搭載が実現したならば、マイクロ流体デバイスへの導入を検討する。
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