研究実績の概要 |
我々は口腔癌の早期発見のために唾液が歯科臨床で簡便に反復して非侵襲的に採取でき、しかも腫瘍由来のタンパクを反映する絶好の試料であることに注目し、全唾液を試料とした口腔癌のスクリーニング検査の開発を行ってきた(頭頸部癌 Vol.32 45-50,2007)。そこで口腔癌患者の唾液をメタボローム解析によりアミノ酸代謝経路において口腔癌で特徴的に発現する16種類の代謝物を検出した。さらにこの代謝物が果たして口腔癌に特異的に発現するかを検討する。そこで得られた物質(特にタンパク)を一次スクリーニングに導入し、歯科診療所レベルで簡便に行なえる口腔癌等のスクリーニング検査として普及に努める。口腔癌患者の唾液をキャピラリー電気泳動-質量分析法(CE-MS)メタボローム解析により網羅的に検索して、唾液に含まれる口腔癌のバイオマーカーとなるタンパク、酵素を特定しその抗体の作製を目標とした研究を進め、アミノ酸代謝経路において口腔癌で特徴的に発現する25種類の代謝物を検出した。本研究の技法であるメタボロミクスのでは口腔癌細胞の代謝途上で産生されるタンパクや酵素をはじめとする代謝物質の検出を本法によって解析することで、個々の検体で異なったアーチファクトとなる物質を含む可能性が高い全唾液を検体としても、共通した特徴的変化を一気に網羅的に検索することが可能となった。
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