研究課題/領域番号 |
16K11741
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 桂子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00302159)
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研究分担者 |
鎌倉 慎治 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80224640)
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60226850)
川井 忠 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50547263)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リン酸カルシウム系生体材料 / リン酸オクタカルシウム(OCP) / OCP/Col / ビーグル犬 / 人工的骨欠損 / 骨形成促進薬 / テリパラチド / 骨再生 |
研究実績の概要 |
今年度はビーグル犬を使用して,下顎骨を離断する「区域切除」を行った人工的骨欠損部に対し,骨形成を促進する骨粗鬆症治療薬として臨床応用されている化学合成の副甲状腺ホルモン(PTH)・テリパラチド(商品名:テリボン)を,本研究材料OCP/Collagen 複合体(OCP/Col)と同じ骨再生材料として既に上市されているハイドロキシアパタイト・コラーゲン(HA/Col;製品名:リフィット)に併用してOCP/Colの骨再生能と比較を行った. 本実験において薬剤の併用方法は, 11㎜径×12㎜円柱状の HA/Col 3個に対して,埋入実験時に1mlの生理食塩水に溶解したテリパラチド56.6μgを注射シリンジから均等に滴下,播種して埋入材料とした. 実験の概要は,ビーグル犬(成犬,♂)の下顎左側第1~4前臼歯抜去後,3か月の抜歯窩治癒期間を設け,二期的に下顎下縁部の皮膚切開により露出させた下顎骨を,近遠心的に15mm幅で骨切除して顎骨を離断,人工的骨欠損を作製した.なお,離断した近遠心の骨片同士は,下顎骨体の頬側中央部と下顎下縁部の2箇所において,長さを調整したミニプレートを使用し,近遠心部それぞれ3箇所でスクリュー固定を行った. 作製した同骨欠部に対して,テリパラチドを播種したHA/Col を3個埋入して,皮膚切開部を吸収糸にて縫合,閉創して実験終了とした.術後は1か月毎に口腔内経過観察および口内X線写真撮影を行い,術後6か月で終了した.経時的な骨再生状況および最終的な骨再生状態について評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りの実験ができた
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今後の研究の推進方策 |
本実験系での人工的骨欠損は,口腔外科領域では非常に高難度の骨欠損形態であり,これまでOCP/Col単独使用の実験では確実な骨再生が得られず,50%程度の骨再生率であった.しかし今回,骨形成促進薬として化学合成されたテリパラチドを併用したことにより,100%の確率で充分量の骨再生が可能であることが確認できた.現在臨床応用されている薬剤併用によるOCP/Colの骨再生能の増強効果が確認できたことは,今後の臨床応用上の一助となりうる治療方法であり,細胞培養などの煩雑な作業や手続きがない簡便な方法と考える.今後,テリパラチドの適正な使用量についての検討が必要であり,さらに既存の骨再生材料よりもOCP/Colの骨再生能が優れていることを証明する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の実験においては,新規の物品購入による支出が少額であったため,次年度使用額として流用することとした.次年度,追加実験において使用予定である.
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