研究課題/領域番号 |
16K11742
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
飯野 光喜 山形大学, 医学部, 教授 (50212717)
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研究分担者 |
石川 恵生 山形大学, 医学部, 助教 (00466640)
杉本 昌弘 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (30458963)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 口腔前がん病変 / 唾液 / マルチオミックス / メタボロミクス / プロテオミクス / トランスクリプトミクス |
研究実績の概要 |
3年間で、山形大学医学部歯科口腔外科を受診した口腔癌患者100名・口腔前がん病変患者100名および山形大学医学部に勤務する健常者100名を対象に唾液の採取を行い、そしてその唾液中に含まれる転写産物、タンパク質、代謝物を網羅的に測定する計画を立てていた。この計画に沿って、今年度は唾液検体の採取を中心に行った。 具体的には、口腔癌患者30名および口腔前がん病変患者30名、そして健常者100名の唾液試料採取、医療情報の取得を行うことができた。すでに健常者の唾液採取は予定の人数に達したことになる。 また数人の健常者の検体を使って、RNAの抽出(トランスクリプトミクス)、液体クロマトグラフィー・質量分析法(LC-MS/MS)を用いた唾液中タンパク質の一斉測定(プロテオミクス)、さらにキャピラリー電気泳動・質量分析法(CE-MS)による代謝物の測定(メタボロミクス)を行い(マルチオミックス解析)、測定の手技を確認した。測定データを確認し、測定ができていることも確認した。測定に問題となる点は特になかった。 今後は、口腔癌と口腔前がん病変患者という疾患群の唾液を中心に採取することになるが、疾患群において予定の人数(口腔癌患者100名、口腔前がん病変患者100名)に達したところで、適宜唾液中のRNA、タンパク質、代謝物を一斉に測定する予定である。ただしデータ解析上、対象人数が多いことに問題はないため、また測定トラブルによる試料の損失の可能性も考え、健常者についても今後唾液採取を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
唾液検体は着実に集まっており、順調である。健常者は既に予定の人数が集まっており(100名)、残りは口腔癌患者と、口腔前がん病変患者各70名ほどになっている。口腔癌と口腔前癌病変患者の唾液は予想していた通り、年間30名ほどであるため、あと2年で容易に予定人数に達することが予想される。 また実際の唾液検体を用いた「練習」もしており、全てのオミックス解析(トランスクリプトミクス、プロテオミクス、メタボロミクス)データが得られていることを確認した。これらを鑑みるとおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も唾液検体の収集を行う。特に疾患患者の唾液採取に注力して収集することになるが、測定上のトラブルによる試料損失の可能性も考え、既に予定人数に達した健常者も追加で集める予定である。いずれにしても当初の予定人数に達し次第、速やかに唾液中の物質(RNA、タンパク質、代謝物)を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
唾液中の代謝物濃度を測定する予定であったが、予定とする人数に達さず、代謝物濃度測定は、今年度は行わず、また測定に伴う試薬なども購入しなかったため次年度使用額が生じた。ただし「練習として」、測定を行いデータが得られることは確認した。この際に使用した試薬は、新たに購入したものではなく、既に測定施設にあった試薬を使用したため今年度の試薬購入はしていない。
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次年度使用額の使用計画 |
代謝物濃度測定にかかる試薬などを、次年度と最終年度で購入し、測定する予定としている。
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