研究課題
唾液は非侵襲に取得できるため、疾患検査が確立すれば医療機関以外でも採取・検査が可能となり、応用範囲が広い。本研究では口腔癌・口腔前がん病変患者の唾液中に含まれる転写産物、タンパク質、代謝物を網羅的に測定し、これらを統合してマルチオミックス解析を実施することで、口腔がん・口腔前がん病変スクリーニングマーカーを探索することを目的とした。申請者らはこれまでにもマーカー探索を行ってきたが、個々の単独物質だけでは特異性が低いため、様々な口腔疾患を持つ症例での評価試験とともに、新規マーカー探索を同時に行う。これまでの研究の多くは、口腔がん患者を健常者からスクリーニングするバイオマーカーを探索するものがほとんどであった。われわれもこれまで唾液中の代謝物を測定し、健常者と比較して、口腔がん患者で高値を示し、高精度なバイオマーカーを報告している(Identification of salivary metabolomic biomarkers for oral cancer screening.Ishikawa S et al.Sci Rep. 2016)。しかしながらこの研究は、「口腔癌患者」を「健常者」と高精度に区別することができる可能性を報告しているのみであり、口腔がんに高頻度で変化すると考えられている口腔前がん病変を考慮していない。罹患率、死亡率の両方が増加傾向にある口腔癌の予後を改善するためには、口腔がんだけでなく口腔前がん病変の両方をスクリーニングする必要がある。口腔がんの早期発見・早期治療に寄与するために、本研究では口腔がん・口腔前がん病変をまとめて健常者からスクリーニングする唾液中バイオマーカーの探索を目的とした。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Clinical Oral Investigations
巻: in press ページ: in press
10.1007/s00784-018-2777-3