研究課題/領域番号 |
16K11743
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
嶋田 昌彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40170948)
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研究分担者 |
山崎 陽子 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (90366609)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 脳容積変化 |
研究実績の概要 |
本研究では,典型的三叉神経痛(CTN)群および外傷後有痛性三叉神経ニューロパチー(PPTN)群と健康成人コントロール(HC)群の間に,どのような灰白質容積の相違が認められるかを調査した。 本年度の目標は女性のデータを集積することであるため,対象は女性のみである。CTN患者30名,PPTN患者25名および健康成人30名であった。CTN群およびPPTN群の灰白質容積をHC群と比較するため,3テスラの磁気共鳴画像法にて撮影された画像を用いたボクセル単位形態計測を行った。臨床的所見と灰白質容積の関連の有無を調べるため,回帰分析を行った。また,関心領域の解析には,多重比較を使用した。 その結果,CTN群およびPPTN群双方の右側下側頭回に,HC群と比較して有意な容積の減少を認めた。また,PPTN群の右側中側頭回に,HC群と比較して有意な容積の減少を認めた。さらに,PPTN群の側頭皮質および頭頂皮質にCTN群と比較して有意な容積の減少を認めた。疼痛強度および病悩期間はいくつかの脳部位の灰白質容積と負の相関を認めた。 以上より,三叉神経痛は側頭皮質の容積変化と関係があり,これらの部位が症状と関連する可能性が示唆された。 これらの結果は16th World Congress on Pain,第81回 口腔病学会学術大会, 2017 IADR/AADR/CADR General Session & Exhibition にて発表し,現在論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に女性を対象とした研究は発表,論文まで終了している。 今後は申請時の予定通り,男性を対照とした研究を行って行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度と同様に,対照を男性としてデータの集積を行う。しかし,典型的三叉神経痛の発生率は女性の方が高い傾向にあるため,目標数までデータを集積していく工夫が必要になると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在集積したデータを解析するためのみであれば,マスワークスの基本ソフトで研究可能であり,付加するソフトが現段階では必要なかったため,金額が当初予定より安価となった。また,必要な機能を備えたPCを選択した結果,2016年度中に購入できず,2017年度の購入となり,時期がずれたため次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
PCは2017年度に購入することになっている。マスワークスのソフトは,さらに踏み込んだ画像解析を進めるにあたり,必要なソフトを再検討する。また,発表の際,画像の処理に苦労したため,フォトショップなどの画像用ソフトが必要となることが判明し,購入する予定である。
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