研究課題/領域番号 |
16K11746
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 由美子 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70709857)
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研究分担者 |
吉川 博之 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20547575)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
照光 真 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60401767)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 動物モデル / 報酬系 / エピジェネティクス修飾 |
研究実績の概要 |
口腔顔面領域の難治性慢性疼痛は行動への意欲低下やうつ状態を引き起こす。 本研究では、これを評価する動物実験系の確立、このモデル動物を用いた疼痛によりもたらされる意欲低下の分子生物学的な機序の解明、そして急性痛から慢性痛に至る過程における早期からの薬物投与での報酬系の機能障害を予防の可能性を検証することを目的とした。 まず、動物実験系の確立を試みた。下歯槽神経を切断し神経腫を形成したラットを、温度刺激装置のついたスリットに顔面を接触させることでミルクという報酬を得ることができるよう条件づけ、その後報酬を得るために侵害刺激に相当する温度での刺激が与えられるという負の条件付けのある状態下に置いた。そしてラットの反応や報酬へのモチベーションの低下を数値化して計測できるかどうか試みた。結果、高い温熱刺激ではラットの報酬に対するモチベーションが低下していることがわかり、このモデルがラットの自発行動下における疼痛反応を計測できるものと考えられた。 次いで、慢性疼痛モデル動物の脳内報酬系における神経活性を調べるため、神経活動のマーカーであるFosタンパクの免疫染色を行いその発現部位を検証した。また意欲低下におけるエピジェネティクス修飾の関与を検証するため、脳内報酬系でのDNAメチルトランスフェラーゼの発現の可視化を試みた。合わせて蛍光Ca2+センサーを用いて神経活動のイメージングが可能かどうか検討した。 これまで慢性疼痛に続発する抑うつ状態は脳内報酬系を介することが報告されており、本研究からも口腔顔面領域の慢性疼痛においてその可能性があるものと考えた。しかしエピジェネティクス修飾の関与については本研究だけで論理を構築するのは不十分であり、さらなる追加実験を行う予定としている。
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