iPS細胞由来骨形成性細胞のin vitroでの骨マーカー検索、骨分化能、骨形成能評価を行い、骨再生効果を明らかにするためにiPS細胞(201B7)から単層培養した細胞および骨分化誘導した細胞で培養上清液を回収した。また、比較対象としてES細胞(Line H9)、ヒトSHED(ヒト乳歯歯髄細胞)およびヒトBMMSC(ヒト骨髄細胞)での培養上清液を回収した。ヒトES細胞は京都大学iPS細胞研究所より供与を受けたものを使用し、ヒト骨髄細胞は市販の細胞を使用し、ヒト乳歯細胞は同意の得られた健常な患者より無償供与された細胞を使用した。続いて、in vivoでの評価としてそれぞれの上清を添加した足場材料とともにラット頭頂骨モデルに移植実験を行った。骨分化誘導培地にて2週間骨分化誘導を行った後、足場材料と混合した上で、ラット頭頂部に設けた骨欠損部に移植し、移植後4週、8週にて屠殺し得られた組織をマイクロCTにて評価した。すると、培養上清液を用いた骨移植部位に骨形成を認めた。そこで、局所の骨形成に最適な移植濃度を明らかにするため、培養上清液の濃度を変化させ骨形成の条件検討を行った。また、徐放効果による骨形成の条件検討を行うために、複数の足場材料との組み合わせを行った。その結果、各群において骨形成にばらつきを認めた。評価を行うにはさらにn数を増やす必要があると考えられた。 iPS細胞培養上清液を用いた骨移植部位に骨形成を認め、培養上清液を用いた骨再生が自家骨移植に代わる再生手段になり得る可能性が示唆された。
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