研究課題/領域番号 |
16K11753
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
富岡 重正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (70188770)
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研究分担者 |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 再生 / 麻酔薬 / 神経突起 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、骨髄幹細胞から分化誘導した神経細胞の神経突起の伸長に対する全身麻酔薬の影響について検討した。つまり、マウス骨髄間葉系幹細胞に成長因子などを含む培養液に交換することによって神経細胞に分化誘導した後、全身麻酔薬を添加し24時間後の神経突起の伸長を顕微鏡下に撮影した写真を画像解析ソフト(Image J)を用いて計測した。全身麻酔薬は、プロポフォール(1μM~500μM)、ケタミン(10μM~1mM)、ペントバルビタール(10μM~1mM)について調べた。尚、プロポフォールは低濃度で低濃度にて神経保護作用が見られたとの報告があるため、1μM、2μM、3μMと詳細に検討した。その結果、低濃度プロポフォールの添加により著しい伸長増強作用は見られなかった。しかしながら高濃度プロポフォール添加では軽度伸長抑制作用が見られた。ケタミン、ペントバルビタールは100μM以下の濃度では有意な神経突起伸長の抑制作用は見られなかったが、100μM以上の高濃度では神経突起伸長の抑制が見られた。以上の結果より、臨床で使用する全身麻酔薬は分化誘導後の神経細胞の神経突起伸長を抑制しないことが明らかとなった。また、分化誘導後48時間、72時間と長時間作用させたが結果は同様であったことから、作用時間による変化はないと考えられた。 以上の結果から、平成29年度以降はセマフォリン3Aやネトリン-1などの軸索ガイダンス因子の分化誘導後神経細胞の神経突起伸長への影響について調べ、抑制作用がみられた場合には全身麻酔薬がそれらの作用にどのように影響するかについて検討する予定である。また、分化誘導後神経細胞に圧を負荷した場合の神経突起伸長の反応についても検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を実施するために必要な備品類(培養設備、撮影装置など)は既に現有している上に、マウス骨髄間葉系幹細胞から神経細胞への分化誘導はすでに確立した技術であったため、これまでの実験に大きな支障はなくおおむね順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が平成29年4月より徳島文理大学に転出するため、実験設備の整備が不十分のためすぐに実験を開始できない可能性がある。実験がすぐに再開できないと判断した場合には、研究分担者と連絡および意見交換をしながら本研究計画の実験を一部遂行してもらう予定である。実験分担者は以前同様の実験系を用いた研究を共同で行っていた経緯から実験遂行には問題はないと考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、これまで使用していた試薬が多く残っていたためそれらを使用し実験をおこなった。新しく購入した消耗品がほとんどなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は高額なセマフォリン、ネトリン-1などの軸索ガイダンス因子を購入するため多くの予算を使用する予定である。また、また、その後に行う予定である圧負荷、低酸素条件下での実験のための設備にも予算を使用する予定である。情報収集関連学会にも参加し、興味ある実験結果が得られれば学会でも発表するため予算を使用する予定である。
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