研究実績の概要 |
口腔カンジダ症は治療開始が遅れると口腔内に広範囲に進展し、診断や治療に難渋する重要な日和見感染症の1つである、しかし、従来行われている口腔カンジダ症検査には、培養法、染色による顕微鏡検査、PCR法、蛍光色素法などがあげられるが問題を抱えていた。本研究の目的はカンジダ卵黄抗体と蛍光色素を結合させた光るカンジダ卵黄抗体蛍光色素試薬を製作し、臨床応用することである。具体的には、口腔カンジダ症の診断を迅速、確実し誰でもすぐに診断でき、治療をすぐに開始できる新しい検査法を開発し確立することである。この目的を達成するために研究を行ったが、試薬の特異性の検証と試薬のCandida属種間での特異性の検証に関して症例が不足していたので研究期間を1年間延長して症例数を増やした。追加できた症例は52例で男性22例、女性30例だった。検出できたCandida属種は3種で内訳はCandida albicansが26例、C, glabrataが22例、C. tropicalisが8例(重複を含む)であった。延長により目標とする300症例を超えることができたので従来法である培養法、PCR法など各種の検査法との比較を行うことができた。結果は新しいカンジダ検査法の感度は98%、特異度は95%と従来法に比較して高い値を認めた。さらに、検査に要する時間は5分と従来の培養法の24時間以上、PCR検査法の3時間に比べて飛躍的に短かくなった。また、検査に要する手技は簡便で検体に試薬を滴下して蛍光顕微鏡で観察するだけでcandidaが存在すれば蛍光を発して容易に判別できた。今回、われわれは培養法に代わる、迅速、高感度かつ特異度の高い、新しいカンジダ検査法の開発を目的とし、カンジダ卵黄抗体と蛍光色素を結合させたカンジダ卵黄抗体蛍光色素試薬を製作し、その有用性を示して臨床応用をめざすことが可能であることが示唆された。
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