研究課題/領域番号 |
16K11773
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10513187)
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研究分担者 |
菅原 利夫 愛知学院大学, 歯学部, 客員教授 (10116048)
鈴木 聡 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (30468996)
平田 あずみ 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40263587)
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口蓋裂 / 離開 / TCDD / 基底膜 |
研究実績の概要 |
TCDD投与マウスにおける口蓋癒合部から離開に至る部分について検証を行った。TCDD 投与群のうちHE染色において口蓋部の癒合を認めた3個体について、それぞれ前方の口蓋癒合部から後方の離開部に至る部分について、cytokeratin、vimentin、lamininの細胞の局在について観察し、対照群と比較した。前方の口蓋癒合部においては、対照群、およびTCDD投与群個体1,2,3のすべてで、鼻腔側粘膜上皮と口腔側粘膜上皮、上皮索部にcytokeratin陽性細胞を、上皮索部以外の口蓋棚全体にvimentin陽性細胞を認め、上皮および間葉組織の連続性が観察された。また、対照群、TCDD投与群ともに、上皮下にlaminin陽性細胞を認め、基底膜の連続性が観察された。 次に、やや後方の口蓋部において、対照群では前方の癒合部と同様に上皮、間葉組織、基底膜の連続性が観察されたが、TCDD投与群の口蓋棚狭窄部では、cytokeratin陽性細胞およびvimentin陽性細胞の消失を認め、上皮および間葉組織の断裂が観察された。さらに、同部において、TCDD投与群ではlaminin陽性細胞の消失を認め、基底膜の断裂が観察された。 TCDD投与マウスの口蓋癒合部において、細胞が疎になっている部分を認め、また、口蓋棚狭窄部において細胞の脱落や細胞の欠損を認めたことから、細胞間接着の低下やアポトーシスによる組織強度の不足が、癒合した口蓋が離開する要因となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口蓋離開時の基底膜動態が明らかとなり、離開原因につながる免疫染色への道筋が示されているため。
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今後の研究の推進方策 |
口蓋部接着因子や、他の基底膜に特異的な抗体について、免疫染色を行い、離開現象の解明に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
口蓋基底膜に関する研究で、基底膜局在を観察するための免疫染色において、手法等に時間と費用がかかると考えれたが、順調に手法が確立したため、試薬等に使用する予定であった消耗品が少なく済んだためと考える。これらの未使用額を追加のマウス実験の購入費、接着因子の研究に使用することにより研究成果を上げることができると考える。
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