CB17系統マウス一過性局所脳虚血モデルを用いて虚血耐性獲得の有無を検討している。10分間の一過性虚血負荷後に、10分間の再灌流を3回行った後に、40分間の致死的虚血負荷を加える。 また、5分間の一過性虚血負荷後に、10分間の再灌流を3回行った後に、40分間の致死的虚血負荷を加える。40分間の致死的虚血負荷を加えた場合と10分間および5分間の非致死的虚血負荷を予め加えた場合の虚血耐性能獲得の差異を再灌流3日後にTTC染色にて比較検討をしている。 5分間、10分間の非致死的一過性虚血負荷により致死的虚血負荷後に軽度の梗塞巣の縮小効果が確認されたが、5分間と10分間の非致死的虚血後の耐性能の相違については、明らかな差がみられなかった。免疫組織化学染色により、予め非致死的な一過性虚血負荷を加えることにより梗塞巣内においてもnestin陽性神経幹細胞の発現を認めた。nestin陽性神経幹細胞が反応性アストロサイトであるか、ペリサイト由来であるかを今後は検討する予定である。 さらに、非致死的虚血負荷により神経幹細胞発現量が増加するかどうかは今後さらに検討し、予め非致死的虚血負荷を加えることによる致死的負荷後の神経幹細胞の発現動態を観察するとともに、脳保護作用の観点からカスパーゼの発現についても検討を加える必要がある。
|