研究課題
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の小児患者において、小顎症や歯列狭窄などの顎顔面領域の劣成長とともに、慢性炎症を伴う上部気道の狭窄が認められ、就寝時における気道拡張筋の筋緊張の低下による舌根沈下により、慢性的な間欠性低酸素血症が生じている。しかしながら、これまで小児OSA患者を対象とした上気道の炎症および気道拡張筋の機能変調に関する臨床調査および小児OSAの病態を再現した実験モデル動物を用いた研究は、いずれも国内外を問わず少なく、本疾患における上気道の変調に関する分子病態機構の詳細は不明とされている。これまで応募者らは、間欠的低酸素曝露を再現した動物モデルを用いた基礎研究における顎顔面骨(下顎骨および鼻骨)の成長障害について報告してきた。しかしながら、間欠的低酸素曝露に対する、成長段階の違いによる顎顔面骨成長の影響の差異、および炎症惹起の様相の詳細は明らかになっていない。そこで、本研究は、はじめに、成長段階の違いによる間欠的低酸素曝露の顎顔面領域の成長障害の様相を検証し、次に、上気道炎症の病態を明らかにすることを目的に、成長期ラット(哺乳期、離乳期および思春期前後の3段階)を用いた間欠的低酸素曝露モデルを用いた実験を計画した。はじめに、哺乳期(1週齢)、離乳期(3週齢)および思春期前後(7週齢)の異なる成長段階のラットへの間欠的低酸素曝露実験を行い、結果として、哺乳期および思春期前後のモデルにおいて、下顎骨の成長障害が著しく生じることが判明した。また、鼻気道粘膜を対象とした炎症性サイトカインの定量PCRにより、哺乳期、離乳期においては、転写レベルの上昇が認められず、思春期前後のモデルにおいてのみ、TNFα、CTGFのmRNAレベルの発現上昇が有意に認められた。さらに、舌骨筋を対象としたPCR解析においても、成長段階に影響される可能性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
これまでに計画した動物モデルの作成およびin vivoでの解析は、予定通りに遂行されている。
薬剤投与に病態への介入実験を予定する。
薬剤投与による介入実験の遅れのため
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)