研究課題/領域番号 |
16K11782
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
米満 郁男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00431940)
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研究分担者 |
細道 純 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00420258)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 鼻呼吸障害 / 顎関節 / 咀嚼筋 / 下顎骨形態 |
研究実績の概要 |
口呼吸に伴う持続的低酸素状態が「咀嚼筋収縮に関与するGLUT4の発現を低下し、咀嚼筋の筋組成変化をもたらす」ならびに「顎関節内の低酸素誘導因子の増加を誘発し、軟骨内骨化による下顎骨の成長を抑制する」という2つの仮説を検証することを目的とし、実験モデルとして成長期ラット鼻閉モデルを作製し、H28年度は当初の計画に則り下顎骨の骨形態学的評価を主として実験を行った。 離乳前の8日齢Wistar系雄性ラット(n=36)を用いて実験を行った。実験群(n=18)は10分間の低温冷凍麻酔の後、左側外鼻孔をはんだごてを用いて焼灼した。焼灼後、感染予防のために3%テトラサイクリンを同部に塗布した。対照群(n=18)に偽手術として同器具を同部に当てた。その後30分間、37℃に保ち体温の回復後、母ラットの元に戻した。その後9週齢まで飼育し、両群屠殺した。実験期間中、1週間毎に実験小動物用パルスオキシメーターを用いて4%イソフルラン吸入麻酔下にて血中酸素飽和度を測定した。実験群では対照群と比較し、有意な血中酸素飽和度の低下が認められた。屠殺直後に、Soft-X線撮影し、顎顔面形態分析を、また、Micro-CT撮影により下顎頭軟骨下骨の3次元形態計測および骨量・骨密度等の骨微細構造の解析を行った。実験群では対照群と比較して、下顎枝高の有意な減少、下顎頭海綿骨骨密度の有意な減少が認められた。 また、全身成長の指標として脛骨サイズの測定を行ったが、実験群と対照群に有意差は認められず、鼻呼吸障害の全身への影響は無視できるものと判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、H28年度に予定していた計画は概ね終了している。 X線撮影後に即座に固定、脱灰された顎関節周囲組織は、パラフィン包埋し、現在切片作製、染色中である。
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今後の研究の推進方策 |
今日まで、下顎骨形態計測や、Micro-CTを用いた骨微細構造の解析を行ってきたが、今後は、toluidine blue染色や各種免疫組織化学染色を行うことで、その詳細を明らかにしていく予定である。また、硬組織の解析が終了次第、咀嚼筋の筋組成変化について明らかにすべく、研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル作製に苦慮した。また、X線撮影、特にmicro-CT撮影手技の獲得に時間を要し、当初の予定よりもN数を増やすこと(他の週齢の解析)が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、他の週齢の硬組織解析や、その後の筋組織解析のための物品購入費用が必要なことに加え、学術大会への参加、発表および論文投稿に使用予定である。
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