研究課題
申請者はこれまでに軟骨分化促進因子CCN2の結合因子として細胞内輸送制御因子Rab14を同定し、各々が骨、軟骨および肺組織で極めて高いレベルで発現していることを示した。本研究ではRab14とCCN2の分子間相互作用が、これらの細胞や組織で果たす役割を解明することを目的とし、これまでに骨細胞の分化や基質産生に及ぼす影響について検証してきた。最終年度にかけては骨細胞のネットワークや組織レベルにおけるカルシウム応答について、Rab14とCCN2との関連を明らかにしてきた。以下に補助事業期間を通じて実施した研究の成果を記載する。1. Rab14とCCN2が骨細胞の成熟過程に与える影響を調べるために、細胞様細胞株であるMLO-Y4細胞の3次元培養系を確立した。培養開始7日目と15日目のMLO-Y4細胞において、両者の遺伝子発現レベルを比較した。その結果、3次元培養7日目と比較して15日目では、Rab14とCcn2の発現は優位に上昇していた。2. 骨細胞の成熟過程におけるRab14とCcn2の発現上昇に伴い、どのような因子が変動し、細胞の生理作用に影響を及ぼすかを調べたところ、Ⅰ型コラーゲンやオステオカルシンの発現が有意上昇していた。さらに、細胞内カルシウム応答に関与するc-Fos、コネキシン43およびパネキシン3が、長期間3次元培養したMLO-Y4細胞で著しく上昇していることを明らかにした。3. ニワトリ胚頭蓋冠の骨細胞に流体剪断応力を負荷したところ、類骨中の幼弱骨細胞と比較して、石灰化骨に囲まれている成熟骨細胞では、細胞内カルシウムイオンの上昇率が有意に高い値を示すことが明らかとなった。以上の結果より、骨細胞の成熟に伴ってRab14とCCN2の発現が亢進し、基質産生を活性化するだけでなく、細胞内カルシウム応答にも影響を及ぼす可能性が示唆された。
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