研究課題/領域番号 |
16K11789
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣瀬 尚人 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 助教 (50611935)
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研究分担者 |
國松 亮 広島大学, 病院(歯), 講師 (40580915)
吉見 友希 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (50707081)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | semaphorin3A / 軟骨細胞 / 機械的刺激 / 関節炎 / inflammation / mechanical stress |
研究実績の概要 |
本研究は近年骨代謝において重要な役針を果たしていることが明らかとなっているsemaphorin3Aの下顎頭軟骨の恒常性の維持、および抗炎症作用について検討し、最終的には進行性下顎頭吸収のような重篤な軟骨性疾患に適応することを目的としている。 これまでに実験1として設定したin vitro実験はほぼ予定通り終了している。Flexer Strain Unitを用い軟骨細胞ATDC5に過度な機械的刺激を付与し炎症状態を惹起した状態で、semaphorin3A(sema3A)を添加し、sema3Aの有する抗炎症作用について検討を行った。Sema3Aは機械的刺激によって更新したIL-1B,TNF-a,MMP-3,MMP-13の遺伝子発現およびタンパク発現を有意に抑制した。次にその時のシグナル伝達経路について検討を行った。Sema3Aの抗炎症作用は、AKT,ERK, NF-kBのリン酸化を抑制することで生じていることが明らかとなった。 これらの結果はSemaphorin 3A Inhibits Inflammation in Chondrocytes under Excessive Mechanical StressとしてMediators of inflammation 2018に採択されている。 sema3Aの軟骨における抗炎症作用についての報告は世界的にもほぼ無く、非常に貴重な研究結果であると考える。また現在のところ直接的にsema3Aが治療薬として服用することが可能かは不明であるが、今回報告した抗炎症メカニクスを利用した抗炎症薬の考案が行われることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実験遂行状況としては概ね申請時の予定通りに経過している。 初年度および2年目に予定されていたin vitroの実験系に関してはほぼ終了している。semaphorin3Aの抗炎症作用およびそのシグナル伝達経路については明らかとなっている。
これらの結果はSemaphorin 3A Inhibits Inflammation in Chondrocytes under Excessive Mechanical StressとしてMediators of inflammation 2018に採択されている。
まだ未解決な点としてはsema3Aの有する基質合成への影響であり、継続して検討していく予定である。また動物実験は2年目で開始する予定であったが、in vitroの検討に時間を要し、また論文作成などを行っていた関係でまだ開始されていない。最終年度に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Sema3Aの抗炎症作用についてはほぼ予定通りの項目について明らかとなった。しかし基質合成に対する影響については不明な点が残されている。TypeIIおよびXコラーゲンやアグリカン発現に対する影響はデータが安定せず不明である。基質合成は様々な因子が関与しているため結果がはっきりと表れていない可能性、または単純にsema3Aの基質合成能が無いもしくは少ないためではないだろうか。また動物実験についてはまだ行っていないことから最終年度の課題として取り組む予定である。
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