研究課題/領域番号 |
16K11793
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
郡司掛 香織 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90448811)
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研究分担者 |
川元 龍夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (50323704)
森田 淳平 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50737046) [辞退]
黒石 加代子 (中尾加代子) 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60468303)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯科矯正学 / 歯の移動 / 痛み / ATP |
研究実績の概要 |
矯正学的歯の移動中には痛みが生じることが良く知られている。細胞のエネルギー通貨として知られるアデノシン三リン酸(ATP)は、細胞外に放出されて神経伝達物質として機能し、痛みの伝達に関係していることが示されている。この研究では矯正学的歯の移動を行った時の痛覚過敏に着目し、歯髄や歯根膜における痛みの伝達や痛覚過敏の発症する機序に対するATPの関与について検討することを目的としている。 当該年度には矯正的歯の移動時に生体で歯根膜細胞にかかる圧迫力を、ヒト歯根膜細胞(以下HPDL細胞)遠心力を与えることで再現した際のATP放出経路をより詳細に調べるために、各ATP放出機構に対する阻害を行った。その結果、クロドロネート(VNUT阻害薬)、メクロフェナム酸ナトリウム塩(Cx43阻害薬)、プロベネシド(Px1阻害薬)いずれの阻害薬でもATP放出量は減少した。HPDL細胞へ遠心力を加えた際のVNUTの遺伝子発現が荷重に依存して増加したのに対して。コネキシン43、パネキシン1ではコントロールと比較して変化を認めなかったことから合わせて考えると、圧迫力が加わったときに放出されたATPはVNUTを介して放出された可能性が高いと考えられた。また実験動物に矯正力を付与したときの痛みを行動学的に評価し、ATP放出経路の阻害薬を投与した場合に疼痛行動が減少するか評価したところ、vehicle処置したラットと比較して,ラビング行動,ワイピング行動の両方が有意に減少した。これらの結果から、矯正的歯の移動時の疼痛発症にはVNUTを介したATP放出が関与する可能性が示唆された。
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