研究課題/領域番号 |
16K11797
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
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研究分担者 |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
島田 明美 鶴見大学, 歯学部, 講師 (00339813)
中村 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10097321)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / ヒストンメチル化酵素 / 腱細胞分化 / 腱組織 |
研究実績の概要 |
発生や分化において、細胞系譜特異的な遺伝子発現に加え遺伝子周辺のヒストンやDNAの翻訳後修飾を介したエピジェネティックな制御の関与が考えられている。腱細胞の増殖と分化機構については多くの知見が得られているが、エピジェネティック制御については不明な点が多い。本研究ではヒストンH3の9番目のリジン残基(H3K9)のメチル化酵素(H3K9MTase)であるG9aに着目し、生体での腱細胞形成におけるG9aの機能を調べることを目的とし、G9a conditional ノックアウトマウスを作出した。G9a conditional ノックアウトマウスの作出はSox9-CreマウスとG9a flox/floxマウスの交配で行った。 まず発生においてSox9陽性細胞由来の腱細胞が存在することを確認するために、Sox9-Cre;Rosa26-LacZマウスの腱組織を解析した。LacZの組織染色より腱組織でLacZの局在が観察され、腱細胞がSox9陽性細胞由来であり、Cre recombinaseが腱細胞で機能していることを確認した。次に生後3週齢のG9a conditional ノックアウトマウスの腱組織の解析を行ったところ、G9a conditional ノックアウトマウスはコントロールマウスに比べ、咬筋付着部、前脚、尾、膝などの腱組織で形成不全を示した。また胎生期の腱組織を組織学的に解析するためにヘマトキシリン・エオジン染色を行ったところ、コントロールマウスと比較してG9a conditional ノックアウトマウスの腱組織で形成不全が認められた。以上の結果より、G9aが発生過程で腱の発生に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
G9aおよびH3K9m2のの免疫組織学的検討に時間がかかってしまい、分子生物学的な検討には至らなかった。現在は抗体濃度、反応時間等の条件検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後免疫組織化学を用いて、コントロールマウスとG9a conditionalノックアウトマウスの腱組織におけるG9およびH3K9me2の発現局在の検討を行う。またコントロールマウスと比較して、G9a conditionalノックアウトマウスで腱組織の低形成が認められることにより、腱のマーカー分子である1型コラーゲンおよびテネイシンCの免疫染色を行い、G9aが腱マーカー分子発現に与える影響について検討を行う。
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