研究課題
腱細胞の分化機構について様々な報告があるが、エピジェネティック制御については不明な点が多い。本研究ではヒストンメチル化酵素であるG9aに着目し、生体での腱細胞分化におけるG9aの機能を調べることを目的とする。腱組織におけるG9aの機能を調べるため、Sox9-CreマウスとG9aflox/floxマウスを交配して、G9a conditional ノックアウトマウスを作出して解析を行った。生後3週齢のG9a conditonal ノックアウトマウスではコントロールマウスと比較して、咬筋付着部、前脚、膝、尾などの腱組織が形成不全を示したことから、G9aが腱の発生に重要な役割を果たしている可能性を見出した。腱組織におけるG9aの発現を確認し、腱細胞の分化における解析を進めた。発生期においてSox9プロモーターの活性により腱組織でCreリコンビナーゼが機能することを確認するため、Sox9-Cre;Rosa26-LacZマウスの解析を行ったところ、腱組織においてLacZ陽性細胞を確認したことから、腱細胞でCreリコンビナーゼが機能していること確認した。次に免疫組織化学を用いて腱組織におけるG9aと1型コラーゲンの発現を調べた。発生期のコントロールマウスの腱細胞でG9aの発現が認められたが、G9a conditonal ノックアウトマウスではG9aの発現が減少していた。また1型コラーゲンの発現も同様に、コントロールマウスと比較して、G9a conditonal ノックアウトマウスで発現の減少が認められた。さらにin situ hybridizationを行い、腱組織におけるTenomodulinのmRNAの発現を調べたところ、コントロールマウスと比較してG9a conditonal ノックアウトマウスで発現が減少していた。以上の結果より、G9aが腱組織の発生過程において重要である可能性が示唆された。
すべて 2018
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Polymers
巻: 10 ページ: -
10.3390/polym10121384