研究課題/領域番号 |
16K11809
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
村上 大輔 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (80611798)
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研究分担者 |
稲田 絵美 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (30448568)
海原 康孝 広島大学, 病院(歯), 助教 (60274106)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 口呼吸 |
研究実績の概要 |
小児の口呼吸は、口腔周囲の機能や形態に異常を及ぼす悪習癖の一つである。これまでの研究において、口呼吸には口唇閉鎖力の関与が大きいこと、また、アレルギー疾患等の全身状態も因子になることが示されたが、本研究では、原因をさらに追求した上で、幼児期の口唇閉鎖訓練が口呼吸を改善し、顔面軟組織の成長を適切に導き、全身状態を向上させることができるかを検証すること、ならびに口呼吸分類のスクリーニング表作成を目的としている。 平成29年度の実績として、調査データの収集においては、前年度に引き続き小児を対象とし、口呼吸に関連があると考えられる「疾患などの全身状態について」、「鼻・のど・耳の状態について」、「口腔と咬合状態について」、「口唇と歯肉の状態について」、「食事の摂取について」の計53項目に関するアンケート調査を継続した。同時に口唇機能の評価として、歯科用口唇筋力固定装置りっぷるくん(松風)を使用し、口唇閉鎖力を計測し、顔面軟組織形態の評価として、非接触型3次元形態計測器VIVID910(コニカミノルタ社:現有設備)を用い、顔面形態の計測を継続した。また、口唇閉鎖訓練による機能的介入については、「キラキラ星」の歌に合わせて、唇を「あ・い・う」と動かし、最後に舌を突出する運動を反復する「あいうべ体操」の実施状況の視察、指導を継続しながら、同時にデータ収集も行った。 収集データの一部に関しては、解析を進め、口呼吸症候群の疫学や小児の顔面形態の成長についての興味深い結果が得られたため、平成29年度日本小児歯科学会全国大会にて2演題を発表している。 また、口唇閉鎖力の標準値や、他因子との関連について有意義な知見が得られたため論文としてまとめPediatric Dental Journalに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、口腔機能不全の中でも小児に頻発する口呼吸に着目し、口呼吸を誘発する関連因子を解明することで、口呼吸診断に応用できるスクリーニング表を作成すること、ならびに口唇閉鎖訓練という機能的介入を行うことで、口呼吸の改善、延いては全身状態を向上させるかを検証することにある。 そのため、研究を段階的に行う計画であるが、H29年度計画にある未就学児を対象とした口呼吸に関するアンケート調査、口唇閉鎖力の計測、顔面軟組織形態のデータ収集、ならびに収集データの解析は進んでおり、得られた結果についてはすでに日本小児歯科学会学術大会で発表し、口唇閉鎖力の各年齢の標準値や他因子との関連性については論文としてまとめPediatric Dental Journalに掲載された。 口唇閉鎖訓練前後の収集データについても解析を始めており、結果については日本小児歯科学会学術大会等で発表し、論文を作成する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究により、未就学児における、口呼吸に関連する生活習慣や全身状態に関するアンケート、口唇閉鎖力計測、顔面軟組織形態の計測は進んでおり、一部データについてはすでに解析も進み、結果については各方面で発表、論文掲載されている。また、集団を対象としたあいうべ体操による機能的介入前後の解析も進めており、今後は、継続的なデータ回収を行っていくとともに、得られたデータをもとに、口呼吸の主原因別分類、機能的介入の顔面軟組織や全身状態への効果を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
計測協力施設の拡大に伴い、計測に伴う精密機械の輸送や旅費が増加すること、収集しているデータ量が多く、資料整理や解析のための人件費が必要となることが予想される。 また、一部収集したデータからは、有用な結果を複数得られたため、当初の予定より多くの学会発表や論文投稿が見込める。 そのため、次年度使用額として翌年度分に助成金を請求した。
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