研究課題
ダウン症は、最も高頻度な遺伝性疾患である。21番染色体は常染色体の中で最も小さくタンパクをコードしている遺伝子で総数は約270と考えられている。この21番染色体にはカルシニューリン1調節因子(RCAN1)や二重特異性チロ シンリン酸化制御キナーゼ 1A(DYRK1A) の遺伝子があり、RCAN1 はCn 活性の内因性フィードバック制御因子で、DYRK1A は NFAT をリン酸化し、それによって核への移行を媒介する。これらの 2 つのタンパ ク質の産生の増加により NFAT の調節異常が誘導され、これによりダウン症候群の特徴を説明できる。Down症候群の特徴として、重度の歯周疾患がある。歯周組織の健康を維持するためには良好な末梢血管の血流が重要である。Down症候群は21番染色体がトリソミーであり、DSCR1の発現が高い事により血管新生能が抑制されている。我々は、これら血管新生能は歯周疾患とも関連があると考えている。本研究はヒトDown症候群歯根膜由来細胞と健常者歯根膜由来細胞についてSV40とhTERTのトランスフェクションにより不死化を行った。矯正歯科治療で抜去したDown症候群永久歯(PDLDS)、健常者永久歯(pPDL)より歯根膜を獲得した。それらは10%FBS含有αMEMにて無菌的に培養した。ダウン症候群歯根膜細胞はDNA遺伝子発現分析より21番染色体トリソミーを確認した。永久歯歯根膜由来細胞PDLとPDLDSは、hTERTとSV40でトランスフェクションし、限界希釈法を使用してSTPDLとSTPDLDSを獲得した。これらはhTERT活性を認め、SV40を免疫染色で確認した。STPDLDSの染色体解析の結果、染色体は不安定で倍化していることが確認できた。それらの細胞がトランスフェクションの影響による異数体であると考えられた。
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