研究課題/領域番号 |
16K11815
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
下村 淳子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00386286)
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研究分担者 |
梨田 智子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (10133464)
中原 賢 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (20610257)
下村 裕 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70397107)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | PTH1R / 点突然変異 |
研究実績の概要 |
副甲状腺ホルモン(PTH)・副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)の受容体(以下PTH1R)は、骨代謝だけではなく、歯の萌出に重要な役割を持つ。本研究は、Jansen 型変異PTH1R の分子病理、すなわちその誘導シグナリング経路と骨形成系細胞の分化に対する異常について、最終的にin vivoの手法を用いて解明するものである。これにより、歯槽骨におけるPTH1R の作用を解明するとともに、PTH1R の歯の萌出機構における役割を明らかにすることを目的としている。 平成28年度においては、変異型PTH1Rの膜受容体からのシグナル、小胞体シグナルとproteasome における分解のどちらが優位に生じるか、またそれは正常な歯槽骨の形成および歯の萌出にどのような影響を与えるか、さらに膜受容体の恒常活性と野生型PTH1R とJansen 型変異PTH1R の相互作用について、まずはin vitro の面から解析することを目的に研究を行った。 野生型PTH1RおよびJansen型変異PTH1R遺伝子発現ベクターのC末に、それぞれFlagおよびHAタグを付けたものを、lipofection法を用いて骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞に遺伝子導入し、各PTH1Rを強発現させた。その後、細胞分画を行い、各分画ごとにWestern blotを行い、細胞内局在の違いを検討したところ、野生型PTH1RとJansen型変異PTH1Rにおいて局在の違いを認めた。 また上記in vitroの実験系を進めると同時に、DMP1 promoter/enhancer cassetteへのPTH1R 遺伝子組み替えの設計も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、平成28年度はJansen 型PTH1R cDNA を組み込んだ発現ベクターを用い、その機能をin vitro の実験系にて解析することであった。 実際は、Western blotを行い、野生型および変異型PTH1Rの細胞内局在の違いについて、in vitroで検討を行うことができたため、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度以降は、以下のような研究推進方策に沿って研究を行う。 1.初年度のin vitroでの研究成果をふまえ、既に作成済みであるDMP1 promoter/enhancer cassetteにJansen型PTH-R遺伝子を組み込みvectorを構築し、骨細胞のprimary cultureにてその発現を確認する。 2.採卵した受精卵にインジェクション(顕鏡注入)し、インジェクションした受精卵を仮親の卵管に移植し、産仔を得る。但し、この過程は専門技術を要するので、研究委託をする(予算として計上)。 3.Founderマウスのジェノタイピングを胎生18日齢のFounderマウスの尾より抽出したゲノムを用いて、PCR法によりtransgeneが組み込まれたマウスのスクリーニングを行い、その後組織標本作製を行う。 4.次年度以降、組織異常解析、遺伝子発現異常解析を行い、最終的には成果の発表を論文で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度分の助成金は、当該年度内に使用する目的で使用計画をたて、実際に使用してきたが、14,522円分の消耗品のみ購入が3月となり、支払いが次年度となってしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由から、使用計画に変更はない。
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