研究課題/領域番号 |
16K11818
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
中村 浩志 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (00278178)
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研究分担者 |
中村 美どり 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (90278177)
大須賀 直人 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (80247535)
八上 公利 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00210211)
定岡 直 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (80549395)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポリフェノール / 骨代謝改善作用 / マコモタケ / ベーチェット病 / 骨髄マクロファージ |
研究実績の概要 |
マコモ (Zizania latifolia)は、東・東南アジアに分布するイネ科の水生植物である。黒穂菌の一種であるUstilago esculentaに寄生され変成したマコモの新芽をマコモタケと呼び、古来より日本や中国で食用に利用されてきた。近年、マコモタケを肌の美白や、歯の漂白作用を期待する民間レベルでの利用、商品開発も行われている。また、マコモタケ成分には抗肥満症、抗酸化、抗炎症作用およびアレルギー抑制作用があることも報告されている。そこで、今回我々はこのマコモタケ成分の抗炎症作用に着目し、ぶどう膜炎に対する抗炎症作用にについて検討した。ベーチェット病のぶどう膜炎モデルともされるエンドトキシン誘発性ぶどう膜炎 (endotoxin-induced uveitis: EIU)を用いた。LPS投与から24時間後、対照群、マコモタケ懸濁液内服群ともに、眼球に充血などの臨床所見は確認できなかった。しかし、ヘマトキシリン・エオジン染色による眼球の組織像では対照群の前房、硝子体中に好中球が浸潤しているのが認められた。一方、マコモタケ懸濁液内服群では前房、硝子体内部における好中球浸潤はほとんど認められず、眼内の炎症性反応が有意に抑制された。さらに、LPSによって誘導される単球・マクロファージ系細胞の炎症性サイトカインTNF-α、IL-1β産生促進に対するマコモタケ抽出液の効果について検討を行った。LPS存在下での培養は,骨髄マクロファージのTNF-α産生を誘導し、マコモタケタノール抽出成分はそれを濃度依存的に抑制した。また、LPSによるIL-1β産生誘導に対し、マコモタケタノール抽出成分は低濃度では抑制効果を示さなかったが、高濃度で有意に抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベーチェット病のぶどう膜炎モデルにおいて、マコモタケ懸濁液内服群では前房、硝子体内部における好中球浸潤はほとんど認められず、眼内の炎症性反応が有意に抑制されることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
カンジダ菌増殖抑制作用の検討のほか、骨粗鬆症モデルマウスの実験系を用いて、各種植物成分の歯周病や骨粗鬆症などの骨代謝疾患に対する臨床応用の可能性の手掛かりを探す。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨粗鬆症モデルマウスの購入が遅れたため。
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次年度使用額の使用計画 |
カンジダ菌増殖抑制作用の実験と骨粗鬆症モデルマウスの実験に使用する予定である。
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