研究課題
唇顎口蓋裂などの骨欠損治療は、未だ困難を伴う症例である。このような骨欠損部に対し二次的新鮮自家腸骨海綿骨移植や吸収性の足場材料の応用が進められている。しかしながら、しばしば臨床現場では、自家骨や吸収性の足場材料が早期に吸収してしまい長期効果がみられないことが散見される。その様な中申請者らは、ラット頭蓋骨で臨界欠損を作り、臨界欠損作製時に得られた自家骨や人工材料を移植し、エックス線と特殊染色方法を使って骨の成長と吸収ならびに炎症細胞と破骨細胞を観察し、自家骨や人工骨移植後の骨吸収では大量のTNF-αが分泌されること、破骨細胞が活性化することを明らかにした。更に、インターフェロンガンマー(IFN-γ)が、TNF-αの分泌や破骨細胞活性を抑制することで、術後の骨吸収・人工骨吸収を抑制し、長期的な骨置換を促す事を明らかにした。この知見を踏まえ、本研究では、破骨細胞抑制因子や抗炎症作用を持つ免疫調節因子を組み合わせた新規骨形成材料の開発を行い、口唇口蓋裂部の再生のための臨床研究へと繋げることを目標としている。R1年度は、エピガロカテキンガレート(EGCG)結合ゼラチンの上での細胞接着挙動をIn vitroにおいて評価した。その結果、EGCG結合ゼラチン上での骨芽細胞様細胞株の良好な細胞接着を確認した。またマイクロCT解析、およびピクロシリウスレッド染色と偏光顕微鏡を用いたコラーゲンの質的評価など、EGCG結合ゼラチンによって再生された新生骨の骨質評価を行った。
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