研究課題/領域番号 |
16K11825
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
青木 章 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30302889)
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研究分担者 |
竹内 康雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (60396968)
水谷 幸嗣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60451910)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周炎 / 光 / レーザー / LED / 歯周ポケット / 細胞増殖 / 殺菌 / インプラント周囲炎 |
研究実績の概要 |
1)Er:YAGレーザーが歯肉線維芽細胞へ及ぼす生物学的効果:ヒト歯肉線維芽細胞に対し各種の条件で低出力 Er:YAGレーザー照射を行なったところ,出力依存的に増殖活性の増加が確認され,最大の効果を示す出力では同時に細胞傷害性も認められた.さらに,増殖活性を示す細胞周期関連核タンパク質による免疫染色を用い,発現の促進を確認した. 2)Er:YAGレーザーによる骨組織切削後の新生骨形成:ラット頭頂骨に,バーおよび注水下でのEr:YAGレーザー照射によりグルーブを形成し,評価する実験系を構築した.術後の新生骨形成についてマイクロCTによる解析では,レーザー切削においてより良好な治癒が認められた. 3)Er:YAGレーザーによるインプラント体の石灰化物の除去:Er:YAGレーザーが歯石除去に有効であることを立証した. 4)各種の波長のレーザー/LEDが細菌/細胞に及ぼす効果:新規の超高繰り返しパルス数・超短パルス幅の青色レーザー照射により,出力依存的に骨芽細胞に対する増殖促進効果が認められ,また,連続波に比べて,パルス波で有意に高い効果が確認された.青色LEDと赤色色素の組み合わせの抗菌光線力学療法(aPDT)において,嫌気下では,Porphyromonas gingivalisの増殖抑制が認められたのみであったのに対し,好気下(酸素の存在下)では明かな殺菌効果(aPDT効果)が認められ,aPDTにおける酸素の必要性がはじめて明瞭に立証された. 5)歯周ポケットへのEr-LCPTの応用による非外科的歯周組織再生治療法の臨床研究:垂直性骨欠損を有する歯周ポケットに対し,Er:YAGレーザーを用いてポケット内全体のデブライドメントを包括的に徹底して行うEr-LCPTのランダム化臨床比較試験を継続した. 6)Cr:CdSeレーザーによる象牙質蒸散の波長依存性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床研究において,適切な患者を捜すために時間を要しているため.
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今後の研究の推進方策 |
1)Er:YAGレーザーの線維芽細胞への照射後の生物学的効果については,さらに網羅的な遺伝子発現の検索や,形態学的な変化などについて詳細な解析を行い,学会発表および論文発表へと進展させる. 2)骨組織の切削効果については,実施動物数を増加し,統計学的検定を行った上で,組織学的変化および各種遺伝子発現の変化について分析を行う. 3)インプラント体の石灰化物の除去については,抜去インプラントを用いて検索を行う. 4)青色レーザーについては,細胞の活性化を生ずるメカニズムについて探索する.LEDによる殺菌効果については,UVや青色LEDの殺菌効果について検索を行い,また新たな波長と色素の組み合わせによるaPDT効果について検索する. 5)垂直性骨欠損を有する歯周ポケットに対するEr-LCPTのランダム化臨床比較試験については,医局内で研究内容の周知徹底を行い,できるだけ適切な患者が多く集められるように努力し,研究を継続する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた一部の論文の出版が遅れたため.また,予定していた細胞研究の分析の一部が遅れたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定している論文の出版を行う.また,遅れた細胞研究の分析を予定通り遂行する.
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