研究課題
神経組織に特に高発現しているTransient receptor potential (TRP) タンパクファミリーは,生理活性をもつ神経ペプチド産生を誘導することで局所での骨代謝機能に関与することが知られているが,歯周炎の病態形成におけるこれらの明確な関与は不明である.そこで本研究の目的は,歯周組織のTRPチャネルが誘導する神経ペプチドの同定と,その機能をin vivo, in vitroで検討することである.昨年度の結果を踏まえ、神経ペプチドCGRPが骨芽細胞および破骨細胞の分化・増殖に及ぼす影響をin vitroにて検討した.骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1に神経ペプチドのリコンビナントタンパクをそれぞれ添加し,添加していない群との比較検討を行った.硬組織形成の酵素マーカーであるアルカリホスファターゼ(ALP)をALP染色にて,石灰化した硬組織をアリザリンレッド染色にて比較検討したが,両解析方法において群間差は認められなかった.破骨細胞の分化に関しては,前駆細胞であるRAW264.7細胞にRANKLを添加して分化誘導した.歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis由来のLPSを添加し,歯周炎の病態を模した系を確立した上で神経ペプチドをそれぞれ添加し,添加していない群と比較検討を行った。破骨細胞マーカーである酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)の染色を行い,神経ペプチド投与で破骨細胞への分化が有意に抑制されることが確認された.
2: おおむね順調に進展している
in vivoにおける結果をin vitroで検証し、ターゲットである神経ペプチドが実際に破骨細胞の分化に影響することを確認し、学会発表等行うことができたため、概ね順調に進展していると判断した。
今後はin vitroの結果に関する分子生物学的なメカニズム検証を行うことと、歯周炎モデルマウスでの骨破壊への影響を検証する。
平成30年度において国際学会に参加することとなり、その旅費として次年度使用額が生じた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Sci. Rep.
巻: 7(1) ページ: 11717
10.1038/s41598-017-10343-9.
巻: 7(1) ページ: 6955
10.1038/s41598-017-07196-7.