研究課題
歯周炎は歯槽骨の吸収を特徴とする慢性炎症性疾患であり、主要な歯の喪失原因である。それに加え、様々な全身疾患のリスクファクターであることが多くの疫学調査および動物実験によって報告されている。主に神経組織に発現しているTransient receptor potential (TRP) チャネルタンパクは、生理活性をもつ神経ペプチド産生を誘導することで局所での骨代謝機能に関与することが知られているが、歯周炎の病態形成におけるこれらの明確な関与は不明である。本研究の目的は、TRPチャネルタンパクの中でも炎症性疾患との関連が多く報告されているTRPV1に注目し、in vivoとin vitroで検討を行い、歯周炎の病態形成への関与を行うことである。これまでに、TRPV1ノックアウトマウスは歯周炎が重症化しやすいことを明らかにしたが、TRPV1は神経細胞のみならず他の細胞種にも発現していることが知られている。神経組織に発現するTRPV1が歯周炎の病態形成に関与しているかを検討する目的で、神経組織特異的TRPV1不活性化マウスの作製および評価を行った。天然に存在する超強力なカプサイシンアナログであるレシニフェラトキシン(resiniferatoxin: RTX)を野生型マウスに投与し、TRPV1不応答であることを確認した後、同様に実験的歯周炎を惹起した。その結果、TRPV1ノックアウトマウスとほぼ同等に歯槽骨破壊が亢進することが確認された。これらのことから神経組織に発現するTRPV1が歯周炎の病態形成に関与することが示唆された。また、歯周組織の免疫染色によって、歯周組織中の破骨細胞にCGRP陽性の神経線維が近接していることが確認された。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Int J Dent.
巻: 2019 ページ: 1394678
10.1155/2019/1394678
Heliyon
巻: 5(1) ページ: e01111
10.1016/j.heliyon.2018.e01111
Sci Rep
巻: 8(1) ページ: 9008
10.1038/s41598-018-27408-y
Journal of Periodontal Research
巻: 53 ページ: 777~784
10.1111/jre.12564
巻: 53 ページ: 446~456
10.1111/jre.12533