研究課題/領域番号 |
16K11830
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松田 真司 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (30611321)
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研究分担者 |
加治屋 幹人 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (00633041)
藤田 剛 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (80379883)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NR4A1 / 歯肉増殖症 |
研究実績の概要 |
本研究は薬物性歯肉増殖症の新規治療法開発を目指し、メカニズムの解明を目的した研究である。本研究は歯肉の肥厚にTGF-bシグナルの制御因子であるNR4A1が関与していると考え、薬物性歯肉増殖症におけるNR4A1の関与を詳細に検討し、それを標的とした治療薬の開発を目指している。メカニズム解明の実験にはこれまでに当講座で開発されたCsA誘導性歯肉増殖症マウスモデルを使用した。この増殖症モデルマウスは絹糸結紮を第二臼歯に行い、歯周炎を発症させた後に薬剤を投与することで増殖症を発症させるマウスである。まず絹糸結紮歯周炎モデルでのTGF-b、NR4A1、Collagen1の発現誘導を調べたところ、絹糸結紮1週間後ではTGF-b、NR4A1、collagen1いずれも上昇し、以降時間依存的に減少した。一方CsA増殖症マウスではNR4A1の上昇は抑制されていた。collagen1の発現は長期間高い発現を維持し続けていた。TGF-bシグナルの標的遺伝子と考えられているPAI-1も同様に長期間高い発現を維持した。このことから、CsAはNR4A1の発現を抑制し、そのためTGF-bシグナルが抑制できずCollagenの発現を上昇し続けていると考える。そこでNR4A1の発現を上昇させる化合物シトスポロンBを投与し、歯肉増殖症の程度を評価した。CsAによって抑制されていた歯肉組織中のNR4A1はシトスポロンBによって発現が上昇することを確認した。またCsA増殖症マウスにシトスポロンBを投与することで、歯肉増殖症の発症が抑制された。現在NR4A1のノックアウトマウスを使用し病態解析を行っているところである。今年度の実験でNR4A1の歯肉増殖症への関与の一端を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
来年度に予定したいたNR4A1のノックアウトマウスを購入、実験系を立ち上げるところまで進んでいる。また細胞培養実験も開始しており、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はNR4A1のノックアウトマウスの病態解析を行い、歯肉増殖症に与える影響をより詳細に解析する。また、正常歯肉線維芽細胞にCsAを投与し、NR4A1の発現について解析を行う。そのメカニズムを解明するため、CsAの標的分子NFATのsiRNAを使用してNR4A1の発現の変化を解析する。またレポーターアッセイを用いてNFATがどのようにNR4A1の転写に影響を与えているか解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬購入の際に見積りより安く購入することができ、今年度の助成金に5370円の余りが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に使用予定の試薬の購入費に当てる計画である。
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