研究課題/領域番号 |
16K11834
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
細川 義隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (90346601)
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研究分担者 |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (00217770)
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50707908)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周炎 / CCR5 / CCL3 / CCL5 / Alkannin / NF-κB / 歯根膜由来細胞 |
研究実績の概要 |
歯周炎はデンタルプラーク中に含まれる歯周病関連細菌により惹起される炎症性疾患であり、過剰な免疫応答が歯周組織破壊に関わっていることが明らかとなっている。近年、CC chemokine receptor 5 (CCR5)陽性白血球が歯槽骨破壊に関与していることが報告されたが、その浸潤・集積メカニズムは明らかとなっていない。本研究ではCCR5のリガンドであるCC chemokine ligand 3 (CCL3)とCCL5の歯周組織構成細胞における産生機構を解明することおよびその産生を抑制する物質としてルリジサから抽出される天然色素であるAlkanninに着目してその抗炎症効果を確認することを目的として実験を行った。 この研究により歯周組織構成細胞の一つであるヒト歯根膜由来細胞(HPDLC)を炎症性サイトカインのIL-1βで刺激すると濃度依存的にCCL3およびCCL5が産生される事が明らかとなった。また、AlkanninはIL-1βが誘導したHPDLCのCCL3およびCCL5産生を抑制し、その抑制効果はNF-κB経路を阻害することにより起こる事が明らかとなった。 これらの結果より歯周炎病変局所においてHPDLCはCCL3およびCCL5を産生する事によりCCR5陽性白血球の集積に関与している事が考えられた。また、Alkanninは歯周炎病変局所においてHPDLCのCCL3およびCCL5産生を阻害する事によりCCR5陽性白血球の集積を減少させ歯槽骨破壊の抑制できうる可能性が考えられた。Alkanninを歯周炎病変局所に投与する事で歯周炎発症の予防あるいは治療に応用できる可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
歯周組織構成細胞の一つである歯根膜由来細胞をIL-1βで刺激することによりCCR5のリガンドであるCCL3およびCCL5産生が誘導されることを明らかにしたうえに、その産生を抑える物質としてルリジサに含まれるAlkanninがある事も発見した。この結果はすでにCell Biology International誌で発刊されている。この結果は当初1年目に目標としていたことより進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1年目では歯周組織構成細胞として歯根膜由来細胞を使用したが、2年目以降では歯肉上皮細胞、歯肉線維芽細胞など他の細胞のCCR5リガンド産生能力に関しても明らかとする予定である。さらに刺激物質として炎症性サイトカインだけではなくLPSなど細菌由来物質も用いてより詳細な産生メカニズムを解明する予定である。また、Alkannin以外の生理活性物質も用い歯周炎予防や治療に用いる事ができる可能性がある物質の探索も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初参加予定であった学会に参加できなかったこと、購入物品の価格が大きくディスカウントされていた事、すでにストックしていた試薬があり購入する必要がなくなったことが次年度使用額が生じた要因だと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
今年は積極的に国内および国外の学会に参加し実験結果を公表することにより旅費として研究費を使用する予定である。また、歯周組織構成細胞、刺激物質(炎症性サイトカイン、細菌由来物質)を多種類購入し、網羅的にCCR5リガンド産生を確認する事により研究費を使用する予定である。
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