研究課題/領域番号 |
16K11834
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
細川 義隆 徳島大学, 病院, 講師 (90346601)
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研究分担者 |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (00217770)
細川 育子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (50707908)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周炎 / IL-29 / 口腔上皮細胞 / CXCL10 |
研究実績の概要 |
歯周炎は歯周炎病原性細菌により惹起される炎症性疾患であり、過剰な免疫応答が歯周組織破壊に関与する事が明らかとなっている。近年、Th1細胞の歯周組織破壊への関与が示唆されており、歯周炎病変局所への浸潤・集積メカニズムを明らかにする事が重要であると考えられている。本研究では近年歯周病変局所での存在が報告された新規サイトカインであるinterleukin-29 (IL-29)がT helper (Th)1細胞浸潤に関与しているかどうかを明らかとするために、ヒト口腔上皮細胞がTh1細胞浸潤に関与するケモカインであるCXC chemokine ligand 10 (CXCL10)の産生をIL-29が誘導するか否かを明らかとすることを目的とし研究を行った。 この研究結果よりIL-29はヒト口腔上皮細胞株(TR146細胞)のCXCL10産生を誘導する事が明らかとなった。また、tumot necrosis factor (TNF)-αが誘導するCXCL10産生をIL-29は相乗的に増強し、この産生増強にはp38 Mitogen-activated Protein Kinase (MAPK), Signal Transduction and Activator of Transcription (STAT)3およびnuclear factor (NF)-κBを介するシグナル伝達経路が関与していることが明らかとなった。 これらの結果より歯周炎病変局所で産生されるIL-29は歯周組織構成細胞のCXCL10産生を誘導する事によりTh1細胞浸潤・集積に関与している事が示唆された。また、IL-29がTh1細胞浸潤に関与している事よりIL-29をターゲットとした新しい歯周炎治療の可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目ではCCR5のリガンドであるCCL3およびCCL5が歯根膜由来細胞から産生される可能性を示したが、2年目では新規サイトカインであるIL-27やIL-29が口腔上皮細胞のケモカイン産生をコントロールしていることを明らかとした。これらの結果は歯周炎病変局所への白血球浸潤機構の一端を明らかとしていると思われ、当初の計画通りに研究は進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目では歯根膜由来細胞、2年目では口腔上皮細胞を用いてケモカイン産生機構を明らかとした。3年目ではさらに歯肉線維芽細胞や血管内皮細胞など他の歯周組織構成細胞を用いて多角的に歯周炎でのケモカイン産生について検討したい。また、今回は新規サイトカインであるIL-27やIL-29が歯周炎でのケモカイン産生に関与している可能性を示した。さらに新たなサイトカインを用いて歯周組織構成細胞でのケモカイン産生誘導能を詳細に検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、参加予定であった学会に参加できなくなったこと、購入物品が大きくディスカウントされていたこと、すでにストックしていた物品があり購入する必要がなくなったことが次年度使用額が生じた要因だと考えられる。残金に関しては最終年度であるため海外を含む学会発表を積極的に行う予定である。また、刺激するサイトカインの種類、解析するケモカインの種類を増やし新たに物品を購入する予定である。
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