研究課題/領域番号 |
16K11835
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩下 未咲 九州大学, 大学病院, 助教 (80611326)
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研究分担者 |
浅野 知一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70242063)
山下 明子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70511319)
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脂肪分化 / β酸化 / CfB |
研究実績の概要 |
in vitroおよびin vivoにおいて脂肪細胞での補体調節因子Complement factor B(Cfb)が脂肪の分化、蓄積等に及ぼす影響について検討を行った。 前駆脂肪細胞株3T3-L1においてCfbを過剰発現させ、通法どおり脂肪細胞分化誘導を行うと、分化誘導開始6日後から12日後におけるCebpα、Cebpβ、aP2、Pparγ、adiponectin、Perilipinなどの遺伝子発現がコントロールに比べ有意に増大した。また、Oil red O染色の結果から、Cfbを過剰発現した細胞では脂肪滴形成の増大がみられた。これらの結果から、Cfbが脂肪細胞分化のサイクルに影響を及ぼすことが示唆された。 脂肪細胞特異的にCfbを過剰発現させた(Cfb Tg)マウスでは、野生型マウスと比較して皮下脂肪および内臓脂肪において脂肪細胞の肥大化、脂肪組織重量の有意な増大を認めた。また、糖負荷試験、インスリン負荷試験ではCfb Tgマウスで野生型マウスと比較して耐糖能の低下傾向、インスリン抵抗性の増悪がみられた。さらに、Cfb Tgマウスでは野生型マウスに比べ皮下脂肪組織においてaP2やPparγなどの脂肪分化関連遺伝子の遺伝子発現の亢進、Acox1、Pparαなどのβ酸化関連遺伝子の遺伝子発現の減弱および脂肪合成関連因子Srebp1c、Accや脂肪蓄積に関与するPai1などの遺伝子発現の増大がみられた。 また、Cfb Tgマウスでは補体活性化経路の中心的役割を担うC3の遺伝子発現の亢進、補体系の抑制に働くCfhの遺伝子発現の抑制がみられCfbの過剰発現により補体系に影響を及ぼしていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの作製にやや時間を要したため解析が遅れた部分もあるが、in vivo、in vitroにおける検討から、ある程度成果を得られている。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪細胞において、Cfb過剰発現がインスリンシグナル、脂肪酸代謝等に及ぼす影響に関するアッセイを行う。また、Cfb過剰発現マウス脂肪組織への浸潤細胞について免疫組織化学染色にて検討を行い、Cfbの糖脂質代謝および炎症応答における役割についてさらに解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な試薬などをあらかじめ計画立ててまとめて購入するなどの工夫により使用予定額より若干支出が抑えられた結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせ、必要最小限の支出で成果を得られるよう計画的に使用する。
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