研究実績の概要 |
SDラットの両側上顎第1大臼歯の歯肉を切開し,歯槽骨,歯根膜およびセメント質を歯科用バーで除去して,近心に分岐部欠損を作製した。欠損には,(1) 偽手術 (2) マトリゲル (3) 単層培養hPDLMSC(歯根膜幹細胞)(4) 単層培養HUVEC (5) hPDLMSCスフェロイド(6) 共培養スフェロイドの移植を行った。H29年度、4週、8週後に屠殺し歯槽骨を採取 し、実験動物用3DマイクロX線CT装置を使用して、ラット上顎骨の3次元分析を実施し、新生骨の再生を検討した結果,共培養スフェロイド移植群では、骨充填率、BV/TVにおいて、hPDLMSCスフェロイド、hPDLMSC単層培養移植群に 比べて、歯槽骨形成が有意に上昇していたことが明らかとなった。そこで、H30年度は、歯根膜組織ならびにセメント質の再生を確認するために、組織切片を作成し、HE染色、アザン染色を行った。共培養スフェロイド群の新生セメント質形成率は,hPDLMSCスフェロイド移植群と比べて有意に高かった。H&E染色を高倍率で観察すると,共培養スフェロイド群およびhPDLMSCスフェロイド群において,セメント質に入り込んでいるシャーピー線維が認められた。膠原線維を特異的に染色するアザン染色切片においても,共培養スフェロイド群およびhPDLMSCスフェロイド群では,シャーピー線維はセメント質に入り込んでいた。すなわち,再生された歯根膜線維とセメント質には結合組織性付着が生じていることがわかった。これらのデータから,共培養スフェロイドの移植は,hPDLMSCスフェロイド移植と比べて新生セメント質形成を有意に高め,結合組織性付着が生じることが示唆された。
|