【研究の目的】抗リン脂質抗体は血栓を引き起こし,心筋梗塞,脳梗塞や不育症の原因となる.ベーチェット病はアフタ性口内炎,陰部潰瘍および眼病変を特徴とする炎症性疾患である。抗リン脂質抗体は歯周炎患者で上昇しており,ベーチェット患者では歯周炎が重度であることが報告されている.我々は口腔内細菌とbeta-2 glycoprotein Iとの分子相動性により歯周炎で抗リン脂質抗体が上昇することを報告した。本研究の目的はベーチェット患者における抗リン脂質抗体を評価する事であった.【材料および方法】ベーチェット病患者と健常者から静脈血を採取し,血清中の抗リン脂質抗体を測定した.混合唾液をベーチェット患者から採取し、DNAを抽出してメタゲノム解析を行なった.【結果】抗リン脂質抗体は健常者と比較してベーチェット病患者で有意に上昇していた。メタゲノム解析の結果,beta-2 glycoprotein I と分子相動性を有する細菌がベーチェット病患者の唾液から検出された.【結論】本研究の結果から抗リン脂質抗体はベーチェット病患者で上昇しており,いくつかの口腔細菌がbeta-2 glycoprotein Iとの分子相動性を介してこの抗体を誘導していることが示唆された。
|