研究実績の概要 |
歯周病原細菌と宿主間の相互作用について検討することを目標に,まず,代表的な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisとTreponema denticolaの付着に関係するHgp44の付着領域の解析を行った。P. gingivalis ATCC 33277 のHgp44 (アミノ酸配列1-419) を含むリコンビナントタンパク質を精製した。SDS-PAGEおよび抗His-tag抗体を使用したImmunoblottingで発現を確認した。その後, r-Hgp441-6, r-Hgp44のT. denticola ATCC 35405への付着は ELISAにて評価した。その後, Coaggregation assayにて, r-Hgp44フラグメントがP. gingivalisとT. denticolaの共凝集に及ぼす影響を評価した。ELISA では, r-Hgp44, r-Hgp443, r-Hgp444と T. denticola の付着はコントロールに比べて有意に高い値を示した。さらに, r-Hgp446 とT. denticola の付着はコントロールに比較して有意に高かった。Coaggregation assayの結果, r-Hgp446 と r-Hgp44は低濃度で P. gingivalisとT. denticola の共凝集を阻害した。走査型電子顕微鏡,共焦点レーザー顕微鏡による解析の結果, r-Hgp446 はバイオフィルム形成を阻害した。以上の結果より, Hgp44においてT. denticolaとの付着に関わる主たるドメインは, アミノ酸配列の199-316 間に存在することが明らかになった。2018年度は,さらにヒト歯肉上皮細胞とP. gingivalisおよびT. denticolaを共培養し,相互作用について検討した。
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