研究課題/領域番号 |
16K11845
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
三谷 章雄 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50329611)
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研究分担者 |
菊池 毅 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (40421242)
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70469005) [辞退]
茂木 眞希雄 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (00174334) [辞退]
梅村 正幸 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (90359985)
岡田 康佑 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (00805343)
藤村 岳樹 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40749892)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | IL-35 / HAOB / BMP-2 |
研究実績の概要 |
歯周病やリウマチなどの慢性炎症性骨破壊疾患においてTh17細胞やTreg細胞が病態に深く関与しており、その中でもIL-35は炎症局所ではTreg細胞から産生されTh17細胞に対して抑制性サイトカインとして機能する。炎症性骨破壊疾患の治癒機転を鑑みたとき、骨代謝および骨再生に関する同サイトカインの役割に関しては不明である。今回、歯周組織の再生、特に歯槽骨再生の効率的なシステム構築を模索するために、骨芽細胞の分化過程におけるIL-35の役割の検討を行っている。 現在、当研究施設にて使用実績があり、未分化な状態であるヒト歯槽骨由来骨芽細胞(human alveolar bone osteoblastic cell:HAOB)を採取・培養を行い、研究を進めている。HAOBにBMP-2単独投与、IL-35単独投与およびBMP-2+IL-35同時投与を行ったところ、BMP-2単独とBMP-2+IL-35において一週間後にアリザリン染色によるカルシウム析出の増加を確認した。また、BMP-2単独投与よりBMP-2+IL-35投与の方がよりカルシウム析出の増加を認め、IL-35が高濃度になるにつれてカルシウム析出が増加傾向にある結果が得られた。BMP-2によるカルシウム析出の増加にIL-35の濃度依存的促進効果を認めたが、微細な条件の変化によってはカルシウム析出が安定しないこともあるため、さらなる研究が必要である。 今後、同培養系におけるIL-35の作用を詳細に検討していくため、Real-time PCRやWestern Blottingを用いて骨芽細胞分化マーカーの遺伝子発現量、タンパク発現変動や分化を促進するシグナル伝達経路を調べていく予定である。また、Ebi3欠損マウス由来骨芽細胞を用いて、BMP-2によるマウス骨芽細胞の分化誘導におけるIL-35の役割も同時に検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
想定外にα7integrin陽性ヒト骨格筋幹細胞培養がうまくいかなかったため、これにより大幅に進捗が遅れている。未分化な状態であるヒト歯槽骨由来骨芽細胞(HAOB)を用いて検討を行なうことに変更したため、その後は研究が進捗している。 HAOBを用いた実験では、一定の結果を得ており、IL-35の詳細な役割の検討をさらに進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
未分化な状態であるヒト歯槽骨由来骨芽細胞(HAOB)を用いてIL-35の骨芽細胞分化促進に対する至適濃度が決定次第、Real-time PCRを行って分化マーカーの遺伝子発現量を測定し、加えてWestern Blottingを行い、分化マーカーのタンパク発現やシグナル伝達経路を調べていき、骨再生の場における、IL-35の役割の検討を進めていく予定である。HAOBの細胞培養技術は確立しており、十分な細胞数を蓄えているため、繰り返し実験を行うことが可能である。また、異なったドナーから採取した数種類のHAOBを確保しているため、ドナー間におけるIL-35の作用の比較が可能となった。 さらに、Ebi3欠損マウス由来骨芽細胞を用いて、BMP-2によるマウス骨芽細胞の分化誘導におけるIL-35の役割も同時に検討していく予定であり、これらの実験より本研究の目的である”骨芽細胞の分化過程におけるIL-35の役割を明らかとする”ことを達成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画がうまく進まず、人員の再編成等の必要もあり、実験が滞ってしまったため。
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