研究課題
GIP(glucose-dependent insulinotropic polypeptide)において様々な膵外作は用が報告されているが、我々はGIPがGIP受容体、cAMP/PKA経路を介してLPS誘導炎症反応を抑制することより、抗炎症作用を有することを明らかにした。GIPRは骨芽細胞に発現しておりGIPが骨形成促成作用を有することが知られているが、我々の検討においてもヒト骨芽細胞系細胞Saos-2細胞において、GIPは濃度依存性に骨形成関連遺伝子発現を増加させた。糖尿病において、歯周病は発症頻度が高く、かつ重症化しやすいことより糖尿病合併症の1つとされる。さらに歯周病による慢性炎症は、他の合併症に悪影響を及ぼす可能性が高く、糖尿病患者における歯周病治療の重要性は、ますます増していると考えられる。歯周病は、歯周ポケットに存在する歯周病原細菌より波及した炎症が、セメント質,歯根膜および歯槽骨などの深部歯周組織に波及した慢性炎症である.炎症と骨形成に作用するGIPは、歯周病の治療として有用である可能性が高い。本研究課題では、GIP受容体ノックアウトマウス(GIPRKO)および野生型マウス(WT)の上顎右側第二臼歯(M2)歯間部にリガチャーワイヤーを留置することにより実験的歯周炎を惹起し、GIPの歯周炎の発症・進展に果たしている役割の解明を目指した。GIPRKOでは、WTに比較し歯周組織における炎症性細胞浸潤および炎症性サイトカイン発現が有意に増加するとともに、マイクロCTを用いた歯槽骨の解析において歯槽骨吸収が有意に増加していた。こうした結果は、GIPが歯周病の発症・進展に抑制的に働いていることを示唆している。現在糖尿病治療で用いられているDPP-4阻害薬や今後上市される予定であるGIPアナログの歯周病に対する治療効果が期待される。
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Journal of Diabetes Reserch
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