研究課題/領域番号 |
16K11847
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
田中 昭男 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10121823)
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研究分担者 |
富永 和也 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (80278572)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / 新規合成ペプチド / アメロゲニン / 細胞増殖能 / 石灰化能 |
研究実績の概要 |
歯周病によって失われた組織を再生するためにブタ歯胚から抽出されたエナメルマトリックスデリバティブ(アメロゲニン)が用いられている。この物質をラット背部皮下に接種した結果、組織反応産物が得られた。この産物の中にブタのアメロゲニンのエクソン5の部分配列である7つのアミノ酸シークエンス(WYQNMIR)と相同のアミノ酸配列が含まれていることを見出した。これに相当するヒトのアメロゲニンは6つのアミノ酸シークエンス(WYQSIR)からなるペプチドである。このペプチドを合成して培養ヒト由来歯根膜幹細胞に対する影響を検討した。なお、合成ペプチド無添加群を対照とした。今回、細胞遊走および細胞接着について検討するためWYQSIRからなるペプチドを1、10、100、1,000 ng/mLの濃度になるように添加し、培養したヒト歯根膜幹細胞をカルセインで染色してフルオロブロック24マルチウェルインサートプレートに播種し、1、3、5、8時間後にプレート底面に遊走した細胞数を計った。その結果、遊走能は、1,000 ng/mLの合成ペプチド添加後において対照群と比較して優位に高値を示した。細胞接着に関しては100 ng/mLの合成ペプチド添加3時間後に対照群よりも高値であった。細胞増殖に関する合成ペプチドの至適濃度は1,000 ng/mLであることを以前の実験で得ているので、この濃度の合成ペプチドを歯根膜幹細胞の培養液中に添加し、培養1、2週後にアルカリフォスファターゼ活性、3週後にカルシウム沈着量をそれぞれ測定し、アリザリン・レッド染色を行った。また、培養3週後にELISA法によってオステオカルシンのタンパク発現量を測定した。その結果、アルカリフォスファターゼ活性およびオステオカルシンの発現量は対照群よりも高値であり、多量の硬組織がみられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、ヒトアメロゲニンのアミノ酸の部分配列をもつ合成ペプチド(WYQSIR)に対するヒト歯根膜幹細胞の反応として、細胞遊走、細胞接着、アルカリフォスファターゼ活性およびオステオカルシンのタンパク発現について検討したが、遺伝子発現についてはまだ、検索していないので、半分程度の進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今まで、ヒト歯根膜幹細胞の分離、培養がある程度できるようになり、細胞の増殖能、細胞遊走、細胞接着、アルカリフォスファターゼ活性およびオステオカルシンのタンパク発現を検討することができた。しかし、ヒト歯根膜幹細胞の骨芽細胞への分化を示す遺伝子発現の検討は未実施であるので、今後はそれを調べる予定である。
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