研究課題/領域番号 |
16K11854
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
時岡 早苗 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50343265)
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研究分担者 |
古森 孝英 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50251294)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 職域 / 歯科健診 / 歯周病 / 生活習慣病 / 歯科保健 |
研究実績の概要 |
歯周病が生活習慣病の進展に及ぼす影響を評価し、歯科健診の継続受診が歯周病ならびに生活習慣病の発症・増悪を改善できるのかについて検証することを目的として、本年度は職域歯科健診の実施とともに、歯科健診の継続受診による歯周病の改善効果と生活習慣病と歯周病罹患率との関連性(平成26年度)について検討し以下に示す結果を得た。 ①職域歯科健診と歯科保健指導の実施:H28年度職域歯科健診は826名(男性561名、女性265名)が受診した。その内訳は、歯周病のない者47.5%,軽度歯周病の者41.9%,進行した歯周病の者10.7%であった。 ②ア)平成22年度以降の歯科健診のデータベースを用いて、毎年継続受診した者と、非継続に受診した者に分けて歯周病の有無を比較した。5年後の歯周病の有無ならびに受診継続期間前後の歯周ポケットの深さの改善率は、いずれも継続受診者が非継続受診者より有意に低い結果を示し、歯科健診の継続受診による歯周病の改善効果を認めた。 イ)高血圧症、脂質異常症、糖尿病のいずれかの生活習慣病を有する者は、生活習慣病を持たない者より歯周病罹患率が有意に高かった。 ウ)生活習慣病を有する者について歯科健診継続受診者と非継続者と分けて比較したところ、継続受診者より非継続受診者のほうが要治療判定を受けた者が多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歯科健診・指導の実施と歯科健診結果のデータベースの蓄積は予定通り進んでおり、歯科関連のデータ解析状況はおおむね順調である。しかしながら平成25年度以降の定期健康診断結果の一部に未入力等の不具合があるため、生活習慣病関連データと歯科健診データとの突合作業が遅れている。現在のところ歯科健診の問診の全身状態に関する項目と特定保健指導受診者リストを用いている。
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今後の研究の推進方策 |
1.職域歯科健診・指導の実施 2.職域歯科健診のデータベースを用いた後ろ向きコホート研究の実施:初年度(平成22年度)の歯科健診で歯周病のない者のうち、歯科健診を毎年継続受診した者と、非継続受診者(初年度と最終年度のみ受診した者)に分けて最終年度の歯周病の有無を比較し、歯科健診健診の継続による歯周病予防効果について検討する。 3.平成22年以降の定期健康診断で生活習慣病に該当し、かつ職域歯科健診を受診した者のうち、歯科健診を毎年継続受診した者と非継続受診者について、生活習慣病の経年的な改善効果について比較する。 4.平成22年度以降の歯科健診と定期健康診断の情報データベースに蓄積されたデータのうち、レセプトデータとの突合率が80%以上の者のデータを使用し、分析対象者は歯科健診を毎年継続して受診した者と非継続者に分け、一人あたりの歯科医療費と医療費(歯科治療費と高血圧症、脂質異常症、糖尿病にかかる入院外の合計)について比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の予算内で、歯科健診・指導の機器購入予算と人件費が予定額より少なかったこと、定期健康診断データベースとの突合作業の遅れにより使用予定の機器等が未購入であったこと、平成28年に投稿した論文が査定中であり、論文制作費の予定分が未使用となったため、次年度への繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の歯科健診・指導時に必要な機器や人件費、定期健康診断結果データベースとの突合・蓄積時に使用するUSBなどのCP周辺機器が必要となる。 研究成果の情報発信として国際歯科研究学会での発表、論文の投稿を予定しているため、旅費、論文投稿費用が必要である。
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